〜「冷え性」の漢方治療・養生法〜

厚着をしているのにちっとも温かくならない、お風呂に入って温まってもすぐに冷えてしまう、手足だけが冷えるなど、冷えの悩みは人それぞれです。

身体が冷えている方は身体の機能や免疫力も落ちていることが多く、体調を崩しやすくなります。

冷えのタイプに合わせて生活に気を付けたり、治療をしたりすることが冷えを解消するポイントです。

 

冷えイラスト

 

【冷えの主なタイプ(中医学)】

 

①手足の末端が冷える

 

②冷たい布団に入ると足が冷たくて眠れない

 

③冷えがひどく、なかなか温まらない

 

④冷えて関節も痛む

 

⑤下半身が冷えて上半身は熱い

 

 

 

【冷えの分類別治療法(中医学)】

 

① 手足の末端が冷える

 

特徴:ストレスが多かったり、几帳面な性格だったり、緊張しやすい方に多い冷えの

   症状です。交感神経が興奮して末端の血流が悪くなり、身体は温かいのに手足

   の先だけが冷えるのです。

 

治療:緊張を緩和し心を穏やかにする

   +手足の血流を良くする

 

養生:×唐辛子、冷たいお酒、たばこなど

   生姜、ミント、ターメリックなど

 

 

②  冷たい布団に入ると足が冷たくて眠れない

 

特徴:このタイプの方はお風呂に入った後や暖かい部屋では冷えをあまり感じないの

   に、寒い場所では手足が冷えて、なかなか温まりません。「血」が不足してい

   るタイプです。 「血」は栄養や温かさを身体の隅々まで運んでいるので、不足

   すると特に手足の冷えを感じやすくなります。

   また、「血」が不足している方は胃腸の栄養の吸収が弱い方も多く、

   エネルギー(気)も不足していることがあります。「気」も不足している場合

   は全身に冷えを感じます。

 

治療:血を補う

   +手足の血流を改善する

 

養生:×アイスクリーム、菊茶、苦い料理、過度の疲労など

   ナツメ、竜眼、粟、山芋など

 

 

③ 冷えがひどく、なかなか温まらない

 

特徴:老化や身体の機能低下のため身体を温める力が不足しているタイプで

   す。 温めても着込んでも身体がなかなか温まらず、強い冷えを感じま

   す。

   その他に腰痛やトイレが近かったり、むくみを感じたりすることもあ

   ります。

 

治療:身体を温める

   +身体の機能を回復させる

 

養生:×冷たい飲み物、生魚、生野菜など

   ラム肉、牛肉、シナモン、クローブ、生姜など

 

④ 冷えて関節も痛む

 

特徴:血流が悪いことにより身体の隅々に温かい血が行きわたらず冷えるタイプで

   す。冷えると関節が強張り、腫れたり、むくんだり、痛みを感じたりするこ

   とがあります。

 

治療:関節の血流を良くする

   +関節に栄養を補給する

 

養生:×お酒、砂糖、生魚など

   サムゲタン、よもぎ、シナモン、牛筋など

 

 

⑤ 下半身は冷え、上半身は熱い

 

特徴:更年期障害などで起きやすい冷えのタイプです。

   中医学では冷たさや暗さなどを陰、温かさや明るさなどを陽と考えますが、こ

   のタイプは陰陽のバランスが崩れていて、身体の中で熱が偏ってしまっている

   と考えられます。

 

治療:身体を温める薬と体をクールダウンする薬、両方が備わった処方

 

養生:×甘いもの、油っこいもの、辛いものなど

   黒豆、黒ゴマ、ブルベリー、ザクロなど

 

 

 

【冷えの治療が得意な老中医の診察室】

 

鄭淑華 先生

 

sensei

 

上海に住むAさんは50代の女性です。冬になり、首から肩にかけて冷えて強張り、痛みを感じるのと、両手が冷える日が続いたので当クリニックを受診しました。

 

鄭先生はAさんの冷えの状態に加えて体調について細かく質問をしました。すると、Aさんは冷えの他に夜なかなか眠れず、昼間に眠気と疲労感を覚えると答えました。

舌の状態を見ると表面に苔がべったりと付いており、舌には黒い斑点がありました。舌の表面の苔が厚いことは消化機能が低下していることを表し、舌の黒い斑点は身体の血流が悪いことを表します。さらに鄭先生は手首の脈を触ると、消化器系を表す部分の脈が細くて弱く、Aさんに確認をすると、食事の量は少ない方であるとのことでした。また、暖房を使わず薄着でした。

 

Aさんはもともと消化器系の働きが良くない上に日常生活や飲食の傾向により、身体の表面を温めるエネルギーを作り出せず、冷えにより血流も悪化して両手の冷えと首から肩にかけての強張りと痛みを感じるようになったと鄭先生は判断しました。

そして消化器系の働きを改善して身体の表面を温める力を増やし、血流を改善して痛みを止める漢方薬を処方しました。同時に部屋の環境を整え、寝る前には暖房を使い、温かい洋服を着るようにアドバイスをしました。また、冷たい飲食物を避け、食事の量を増やし、牛肉、ラム肉、ネギや生姜、山芋、サツマイモ、エビ、栗などを多く食べるように、運動をし、寝る前には足湯をして十一時までには寝るように、日中は日光浴をするようにと話しました。

 

Aさんは北向きの部屋に住んでおり、寒さを感じても暖房をあまり使いたがりませんでしたが、症状はだんだん良くなり、二カ月後には症状が無くなり治療終了となりました。

 

 


 

 

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