中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
汗が止まらない(多汗症)!睡眠時の寝汗!を漢方で改善!
上記のような症状がある方は多いのではないでしょうか。
今年は 6 月中から連日 30°Cを超える暑さが続いています。
シャワーを浴びた先から汗 が吹き出し、朝起きたらシーツが汗でぐっしょり…
この汗っかき、寝汗を改善し、少しでも快適に過ごしたいたいものですよね。
ただ、快適に過ごすのはもちろん大切ですが、汗っかき(特に寝汗)には病気が隠れ ていることも…
今回は、そんな汗かき(多汗症)や寝汗を、漢方ではどのように治療しているかをご 紹介します。
早めに治療して病気を事前に防ぎましょう!
汗はどうして出るの?
外気の気温上昇や運動をしたときに体温が上がり、体温調節を担っている脳の視床下 部で、「体温上昇」の情報をキャッチすると、脳は汗腺に「発汗」命令を出します。
このように「汗」には、体内の熱を皮膚から蒸発させ体温コントロールをしていく重 要な役割がありますが、その他にも、緊張したときに出る汗「精神性発汗」、辛い物 を食べたときに出る汗「味覚性発汗」もあります。一般的には、発汗の引きがねにな る刺激が減り、自然に汗が止まれば正常な状態と考えられます。
汗は良くないの?
中医学的に考えてみましょう。中医学では「汗証」という病名があり、「自汗」と 「盗汗(寝汗)」に分けています。
「自汗」…特に要因が無い状態でも昼、夜問わず汗が出る状態で、特に身体を動かし ている時に激しくなるのが特徴です。
「盗汗」…いわゆる寝汗のことで、言葉のとおり睡眠時に汗をかきます。しかし目が 覚めると汗が止まるのが特徴です。
つまり、尋常ではない「汗かき」は、中医学では「病気」としてとらえ早めに治療す べき状態なのです。特に「寝汗」は西洋の医学の膠原病、甲状腺機能亢進症、糖尿病、 結核感染症などの症状として診られることがあるため留意していかなければなりませ ん。
汗が止まらない原因は?
汗は中医学では心臓と関係しているとされています。
中医学の医学古文書《黄帝内経》の中に「五臓化液、心為汗」という文献があり、直 訳すると「五臓が液に変化する、心の液は汗となす」となり、心臓に負担がある場合、 汗として身体から水分を出すことにより体温や心臓の負担を調節しているのだという ことです。つまり、尋常ではない汗かきの人は「心臓の機能に負担がかかりすぎてい る」ことが原因で汗を多くかくようになるようです。
例えば、急激に太ってしまった方は、身体は大きくなるのに、心臓は握りこぶし1つ 分の大きさのままなので、身体全体を動かす血液の供給をする心臓に負担がかかり、 汗を多くかくようになります。
「汗かき(多汗症)」の治療法
中医学では以下の2つの方法を同時に行い、漢方で治療してきます。
心臓の負担を減らす
・血の流れを良くする「活血」の漢方で、汗を減らしていく
・漢方で感情のコントロールを助け、感情の起伏を穏やかにする
・体重のコントロールを指導し、心臓の負担と汗を減らしていく
心臓の機能を回復する
・漢方で睡眠の質をコントロールし、心臓を休ませる
・「黄耆」「霊芝」「苦参」などの漢方の組み合わせで、心臓に栄養を与え心臓の機 能の回復をはかる
・夜の飲酒量や食事量を減らし、心臓を休ませてもらうように指導する
寝汗の原因は?
男性に多い「ストレス」によるホルモンの変動、女性に多い「月経前症候群」や「更 年期障害」等のホルモンの変動によって、身体の調節機能が限界を超えると、交感神 経と副交感神経の切り替わり機能がうまくいかなくなり「寝汗」をかくことが多くな ります。
また、慢性の炎症や栄養ミネラル不足により、五臓や特に「心臓」に栄養がいきわた らず「寝汗」をかくことになります。
両者共に、慢性的に身体が消耗してしまう状態のため、持病の方は病気が進行してし まい、未病の方はこれから何らかの病気を発症しまう可能性もあります。
「寝汗」の治療法
中医学では「寝汗」を病理的な機能障害と考え、血虚、陰虚の2タイプに分類し漢方 で治療してきます。
心血不足(血虚タイプ)
悩みごとが多い人によくあるタイプです。悩みが多いと「心血」の消耗が激しくなり、 また胃腸の働きにも悪影響がでてくるため、消化吸収もうまくいかなくなり「血虚」 栄養不足状態になるのが原因です。
陰虚内熱(陰虚タイプ)
毎晩晩酌をされる方、夜寝るのが遅い方、辛い物が好きな方に多いタイプ。常に身体 に熱が溜まっている状態なので、身体を冷やし潤す「陰精」が消耗していることが原 因です。
【ドクターからの一言】
「寝汗」をかく人は、慢性的な「睡眠の質の低下」が診られます。夜しっかり眠れて いないと、仕事の質や効率に影響が出ることがあるので、30~50 代の多忙な男性は、 とくに「寝汗」の原因を究明し積極的にコントロールしていきましょう。
また「多汗症」や「寝汗」は病気になる前の、なんらかの身体の機能障害が出ている サインです。なので、早めに漢方で治療されることをお勧めします。治療をすれば、 根本的に体質も健康体に改善していくので、単なる「汗かき」と思わず、まずは相談 してみてください。きっとこの夏は楽になるはずです。
今回ご紹介した「汗っかき・寝汗の改善」は当院の古川先生が実施しています。 古川先生の診察は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで受けられます。
土曜日でも診察が可能ですので、多汗症や寝汗でお悩みの方は、西洋治療や薬膳にも 詳しい古川先生に一度相談してみてください。
お問い合わせをお待ちしています。
★保険についてのご質問や、治療期間はどのくらいかかるの?漢方薬は苦いの?
など、なんでもご質問ください!
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- 2022年07月05日
暑さを取り除きストレスを緩和する!6月の薬膳料理
中国4千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理」シリーズ第十四弾!
6月、今回の薬膳料理レシピは、「心(しん)」を労わるがテーマです。
上海の今はジメジメとした湿気が多く、30度を超える猛暑も続く、いわゆる「高温多湿」の 時期です。このような時期は、漢方では「暑邪」と「湿邪」が同時に身体に入り、疲労感、眠 れない、むくみ、下痢や便秘、湿疹、食欲不振、多汗、などの症状が現れやすくなると考えら れています…。どうでしょう?心当たりはありませんか?
実はこれらすべては初夏特有の身体の変化。
では、いったい何が身体に影響を与えているのでしょう?その答えは「心(しん)」!
漢方医学は、初夏は「心(しん)」に影響が出やすい季節だとされています。
「心(しん)」には、2 つの働きがあり、血(けつ)を全身に循環する働き、もう一つは精 神活動の維持です。
「心」を労わる薬膳料理で、カラダに溜まった湿気や熱を取りましょう!
「薬膳」と聞くとてもハードルが高いイメージがありますが、季節や体質・体調を考慮し て、ふだんからの食材の特性や組み合わせることも、立派な「薬膳」料理です。
さあ、「心を労わる食材」を使って「湿気暑さ」対策をしましょう!
心を労わる!「薬膳料理」レシピ
「トマトとセロリのマリネサラダ」
熱を取る作用のある「トマト」と、気を巡らせる効果のある「セロリ」を用いたマリネサ ラダです。レモンを使ったソースでさわやかな一品です。
調理時間: 15分
【材料】 2人前
・トマト(中)……2個
・セロリ……1本
・玉ねぎ(小)…………1/4個
・にんにく…………1/2かけ
(調味料)
★オリーブオイル…………大さじ 2
★レモン汁…………大さじ 1
★塩…………小さじ1/2
★黒こしょう…………少々
【作り方】
1) セロリは、葉も一緒にみじん切りにします。にんにくもみじん切りにします。
2) トマトはヘタを取って横半分に切り、放射状に8個に切り分けます。
3) 玉ねぎは、繊維に沿って薄切りにして、お湯に5分さらした後、水気を絞ります。
4)ボウルに★の調味料を全部入れよく混ぜます。
5) ドレッシングにセロリとニンニク、トマト、玉ねぎを入れます。
6) よく混ぜ合わせます。
7) 出来上がり!
☆材料を器に盛った後の汁は、ガスパチョ風に飲んだり、トマトを小さく切って加えて、 そうめんや細いパスタと和えていただいても美味しいです。
古川先生による「養心」のための薬膳食材講座
今回、レシピ監修をされた古川先生に、身体をリラックスさせ、ほてりや熱を取る食材を教えてもらいました。
セロリ(芹菜)
セロリは清涼感があり、香りが豊かで微妙な苦さも感じられます。またストレスを緩和し、 血の流れを改善、身体の炎症を治める働きがあり、お酒の飲みすぎで身体が火照る人や、 血圧が高めの人に積極的に食べてもらいたい野菜です。
トマト(番茄)
甘酸っぱい人気の食材トマト。熱を冷まし暑気あたりを緩和し、身体に潤いを与え、喉の渇き を抑える作用があります。また胃腸を健康にし、胃腸の炎症を抑える効果もあるので、胃の痛 みを繰り返す人は「トマトの煮込み料理」がおすすめです。
レモン(柠檬)
レモンは酸味があり清涼感を感じさせる夏らしい食材。レモンの酸味には収斂作用があり、汗 などを調節してくれます。またレモンの皮の部分の香りはリラックス成分があり、緊張した血 管を緩ませ血流をよくしてくれます。また、レモンには喉の渇きを抑える作用もあるので、夏 場にピッタリな食材と言えるでしょう。
上記の食材は、今回紹介した「トマトとセロリのマリネサラダ」にも入っているので、是非、 作ってみてくださいね!
ドクターからの一言
夏は身体の熱を冷ましてくれる「寒涼性」の食材(いわゆる夏野菜と呼ばれるもの)を取り、暑邪へ備えましょう。
ただし、冷房で身体が冷えているのに、レタス・トマト・きゅうりなどの夏野菜を生サラダで食べてしまうと、ますます身体を冷やしてしまうことになります。そのため、冷房などで身体が冷えているときは、じゃがいも・にんじん・にんにくなどの食材を、温かいスープにして食することをお勧めします。
また、漢方では身体に必要のない水をスムーズに排泄に結びつけることを「利水」と言いますが、通常、余分な水を身体の外に排泄する方法は「汗をかくこと」「尿を出すこと」 の 2つです。どちらも新陳代謝やデトックスに非常に大切なことなので、利水作用のある「ハト麦」や「トウモロコシの髭茶」「すいか」「あさり」「昆布」など摂って、しっかり排泄しましょう。
また夏場に体調が悪くなってしまう人は、胃腸が弱っていることも多々あります。そのような方は、油が多い揚げ物などの料理は消化の妨げになってしまうので、煮る・蒸す・茹でるなどの素材の性質に合わせた調理法にするように心がけましょう。
★保険についてのご質問や、どの先生に診てもらえばいいどの?漢方薬は苦い の?など、なんでもご質問ください!
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- 2022年06月28日
最近しっかり眠れてますか? ストレスやいびきを改善して良質な睡眠を!
しっかりと睡眠をとることは生活するうえで、とても大切です。しっかりと眠れ た日は良いパフォーマンスができますし、気持ち良く一日が送れます。
そうはいっても良質な睡眠をとるためにはどうしたらいいの?
実は漢方や鍼などで、睡眠の質を高める手助けをすることができるのです。
漢方や鍼で「ストレスと睡眠の質」を改善
こんな症状でお悩みの方は、今すぐ相談してください。
私にお任せください!
「鍼」治療と睡眠コントロール
一般的に「鍼」は、肩こり腰痛などの痛みの治療方法だと思われていますが、ス トレスが原因による「不眠症」「気分変動症」「月経前症候群」などの症状の治 療にも、鍼治療は効果があります。鍼治療で経絡をコントロールし、五臓六腑の 機能が健康になると、症状の改善につながります。また、鍼治療は脳内ホルモン の調節効果もあり、身体の緊張を緩和し「睡眠の質」をたかめる治療にも有効的 です。
漢方での治療法
漢方では西洋のように、睡眠薬など対処療法ではなく、体質を改善することでス トレスの軽減や、睡眠の質を上げ、生活や仕事のパフォーマンスが上がるように 整えていきます。
ポイント①陰陽のバランスを整える
夜(陰の時)は眠くなり、朝(陽の時)は意識がはっきりとします。このように 体内の「陽気・陰血」のバランスが調っていれば、自然と睡眠の質が上がるので、 まずは、この陰陽のバランスを正常に戻すように漢方を処方します。
ポイント②心を穏やかにする
栄養状態の悪い「心血虚」のタイプは不満や不安の感情が現れやすく心が落ち着 きません。また手足が熱る血の気が多い「心火」のタイプはイライラして、眠れ ず「睡眠の質」低下につながってくるので、「心」を安定させ穏やかにする漢方 を処方します。
ポイント③肝の状態を整える
イライラしやすい、疲れやすい、歯ぎしりをするなどの症状の方は、「肝」の能 力が低下する「肝血虚」タイプ。このような体質の方は「睡眠の質」に影響して しまうので、その場合は「肝」の血を補う漢方を処方します。
ポイント④脾を調え「血」を養う
脾は消化吸収をつかさどる働きがあるので、食生活が乱れ、脾臓が弱り始めると 栄養が吸収されず「血虚」の状態になります。このような体質の方も「睡眠の 質」の低下につながるので、胃腸を整え、血を補う漢方を処方します。
いびきと睡眠時無呼吸症を改善しよう!
昨今、「睡眠時無呼吸症候群」の患者さんの 94%が「いびき」をかくことから、 「いびき」の治療の重要性が一般の方々にも認知されてきており、脳血管疾患や 心臓疾患等の予防のために、積極的に「いびき」の診療をされる方が増えてきて います。
中医学では「いびき」になりやすい体質や習慣を見つけ出し、適切な対処法と体 質改善で「いびき」を軽減させることができます。パートナーや家族に「いびき が大きくて眠れない」と言われる前に、「いびき」を減らす身体改革をしてみま せんか?ご家族と会えない方も多いこの時期は、ゆっくりと治療をするチャンス です!
「いびき」と睡眠時無呼吸の関係は?
放っておけない「睡眠時無呼吸症」はいびきと同じ原因であることも多く、閉塞性と中枢性と二つに分類できます。
★閉塞性…「いびき」のメカニズムで説明した狭窄(きょうさく/通り道がふさ がってしまうこと)が原因にあります。
★中枢性…明確なメカニズムはよく解っていませんが、心臓疾患の方は、中枢性 呼吸症の罹患率が高まる傾向にあることが解っています。
「いびき」を治療しましょう
漢方は対症療法ではないので、服用したからといってすぐに「いびき」が止まる人は少ないかもしれません。
しかし、漢方治療は、根本的な治療なので、時間は長くかかりますが最終的には 「いびき」をかかない体質へと改善させ、対処療法にも頼らずに生活できるよう にしていきます。
【医師からの一言】
★保険についてのご質問や、治療期間はどのくらいかかるの?漢方薬は苦いの?
など、なんでもご質問ください!
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2022年06月23日
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