中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
更年期症状や心の不安などに効く「わたしと漢方」
加齢にともなう不調に寄り添ってくれる漢方。今回は、婦人科専門医のケイ先生に、体質改善や気になる症状のケアのために、漢方薬を取り入れる方法を伺いました。
漢方薬は、冷え性や風邪の引き始めといったよく知られる症状に対応するものから、人前で緊張してしまいそうで不安なときに役立つもの、高コレステロール値対策、メンタルケアに効くものもあり、幅広く活用できることがわかります。
それぞれの体質や体調に応じて処方されるため、同じ症状でも効く漢方は十人十色。ここ で紹介する実例を参考に、あなたも、いまの自分の心と体の状態である「証」に合わせたものを処方してもらいましょう。
【実例:A 子さん】
(症状)強度の冷え性で、長年、低体温、肩こり、だるさ、顔色の悪さなどに悩まされて きたというA 子さん。
【ケイ先生の診断】
身体を温める陽の気が足りないですね。脾臓の陽が足りないと下痢になり易く、心臓の陽 気が足りないと、元気がなく足が浮腫んでしまいます。腎臓の陽が足りないと頻尿、下肢 の冷えがなど現れます。原因はそこにありそうですね。
【治療方法】
陽気不足の内臓を温める生薬を調合しましょう。冷えや肩コリには積極的に鍼治療を行いましょう。
【実例:B 子さん】
(症状)乳がんを患い、西洋のホルモン補充療法が使えなかったという B 子さん。更年期 障害の症状に加えて、風邪を引きやすい、胃がもたれやすい、日頃から緊張しやすいとう悩みがありました。
【ケイ先生の診断】
癌を患われているため免疫力(気血両虚)の低下が考えられます。胃の働きも良くないた め、身体のエネルギーを作ることができない状態になっています。
【治療方法】
胃のもたれがあるため胃の治療から漢方の処方を始めましょう。免疫力を上げるため、栄 養のある生薬を消化できる範囲で調節していきますね。
【実例:C 子さん】
(症状)喉のつまりを感じて眠れないことが多い。頻尿ぎみで、最近、将来に不安になる 事が多い。とお悩みでした。
【ケイ先生の診断】
漢方では咽喉のつまりがある病気を梅核気といいます。中医学的な理論から、緊張やスト レスが原因で咽喉に痰や気が滞ると判断しました。不眠や不安など気血の流れが悪いよう に思われるので、漢方治療を行いましょう。
【治療方法】
紫蘇の入った生薬を使い緊張をほぐし、咽喉のつまりを治療していきます。また、同時に血を養い、心を落ちつかせ、睡眠の質を高める漢方治療も行います。リラックスする鍼治療や推拿もやってみましょう。
【実例:D 子さん】
(症状)コレステロール値が高め、風邪の引きはじめはいつも熱っぽい。体温張調節が難 しく、冬でも汗をかくこともある、という D 子さん。
【ケイ先生の診断】
汗は非常に大切な体温調節の機能があります。冬でも汗が出る人は、気虚の可能性があり ます。また、汗をかく部位で弱っている機能を判断することもあります。顔汗は胃腸、わ き汗は胆嚢、下半身は膀胱など。コレステロールが高いため血流の悪さも考えられます。
【治療方法】
気を補う漢方を基本に、内臓の機能を調節していきます。血流を改善し、コレステロール を調節する生薬を加えて治療していきましょう。
ドクターからの一言
どんな病気であれ、ある一瞬に突然、病気が発生するものではありません。自覚症状が現 われるのは、その時かもしれませんが、その萌芽はそれよりずっと前にあるわけです。
たとえば腎臓病の場合、50 歳の人が自覚症状を訴えたとき、その原因は 20 代から始まった生活習慣だった、というケースはよくあります。若くて元気なうちは、みんな病気のことなんて意識しませんよね。しかし、若くて元気なうちにこそ、病気を防ぐことを日常的に意識しなければいけないのではないでしょうか。
今、何かの体の不調を感じる人は、過去の生活習慣を健康的な生活習慣に変えながら、一 緒に治療していきましょう!そうすれば、10 年後のあなたは今よりずっと健康的でいられ るかもしれません。
今の症状の緩和だけでなく、その後の「健康」を創っていく治療とアドバイスを、私たち は常に心がけています。
今回、ご紹介した治療、当院の庄佳宜(ケイ)先生が実施しています。ケイ先生の診察は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで受けられます。土曜日 も診察可能ですので、落ち込みやすさやメンタルの不調、だるさ、更年期の不調で困 っている方は、この機会にぜひ、お問い合わせください。
★保険についてのご質問や、治療期間はどのくらいかかるの?漢方薬は苦いの?
など、なんでもご質問ください!
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2025年04月15日
血を補い、気の巡りを良くする!4 月の薬膳料理
「中国4千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理」シリーズ!
4月の今回の薬膳料理レシピは、「血を補い、気の巡りを良くする」がテーマです。
春の心と体を読み解くキーポイントとなるのが、『五臓の肝』です。春は肝が活発に働く季節 になり、肝が元気でいることが大切です。中医学での『肝』は、血を貯蔵したり、血流をコン トロールしたり、また精神的な安定をはかる役割も担います。
肝が活発に働く春は、肝が疲れやすくなり、精神や気持ちが安定しないため、落ち込みやすい、 ため息が多くなる、といった症状が出ることも。なので、肝が活発に働く春は、精神状態が不 安定になりやすい季節でもあるのです。
逆に肝が元気であれば、情緒は安定し、健やかな心持ちで過ごすことができます。
そこで4月の今回の薬膳料理レシピは、肝を元気にするポイント「血を補い、気の巡りを良くする」がテーマです。
「薬膳」と聞くとてもハードルが高いイメージがありますが、季節や体質・体調を考慮して、 ふだんからの食材の特性や組み合わせ流ことも、立派な「薬膳」料理です。
旬の野菜は手に入りやすく、お値段もお手頃。
難しい材料を使わず、普段の食材の組み合わせを工夫するだけで、いつもの食材が 「薬膳」に!
さあ、「肝」を補う薬膳料理で、春の季節に備えましょう!
血を補い、気の巡りを良くする「薬膳和食」レシピ「たこの白ねぎ大葉ソース・温カルパッチョ」
【材料】2人前
たこ足 2 本(お好みで頭でも OK です)
白ネギ 10cm
大葉 10枚
にんにく 1かけら
オリーブオイル 50ml
レモンスライス 3 枚
塩 少々
【作り方】
❶ たこ足を 2mm 幅にスライスして、軽く塩をふっておきます。
❷にんにくをすりおろして、白ねぎはみじん切り、大葉は千切りにします。
❸小鍋にオリーブオイル、にんにく、塩を入れ、弱火で香りが出るまで煮詰めます。
❹❸がふつふつと温まったら、白ねぎを加え辛味が飛ぶように少し煮詰めます。
❺❹の鍋の火を止める直前に、紫蘇を入れかき混ぜたら火をすぐに止めます。
❻お皿に並べた「たこ」に熱いまま4をかけて、レモンを絞って上からかけたら出来上がり。 洋風の盛り付けでも和風の盛り付けでも!![]()
古川先生による薬膳食材講座
今回、レシピ監修をされた古川先生に、肝を補う薬膳食材を教えてもらいました。
★たこ
気血を補い、筋肉や骨を強くする作用や皮膚の炎症を抑える作用があるとされ、 虚弱体質や 疲れやすく元気のない人に適した食材とされています。 栄養面では、胆汁酸の分泌を促し、 肝臓の働きを助け、コレステロールや高血圧によいタウリンが豊富。口内炎や肌荒れ、貧血 や視力の回復に有効なミネラルやビタミン B 群も多く含まれます。
★大葉
大葉は滋養強壮の効果があり、冷え性を改善する働きがある『温』という作用があり、体を温める野菜とされています。寒邪を除き、肺の働きを高め、気の巡りをよくし、胃腸の働きを回復させる効果もあります。また、一般的に刺身に副菜としてついているように、魚介類の中毒 の予防、中毒症状の嘔吐や下痢の改善にも効果的な食材です。ただし、体の内側に熱が溜まっ ている状態で大葉を摂取すると、余計な熱を溜めてしまう原因にもなりますので、熱っぽい症 状があるときは大葉の摂取は控えましょう
★白ネギ
寒気を伴うかぜの初期症状に有効で、お腹を温めて解毒もするので、下痢にも効果的な食材です。 身体を温め「温」「熱」の性質を持っています。過労や心労で疲れやすく、気力もわか ない人や、冷えて、かぜもひきやすい人、またストレスや不規則な生活で、イライラしやすく、 身体のリズムが乱れている人は積極的に摂取したい食材です。
★にんにく
気の巡りを良くすることで、元気なれる作用があります。また、にんにくは血の巡りも改善し てくれます。さらに”体を温める性質”があるので、内臓の働きを良くし、高血圧などの生活習慣病予防に効果を期待されます。
ニンニクに含まれる”アリシン”は、強力な殺菌効果があるとされています。冷えや、血流が悪い人には適している食材ですが、体が火照っている方や、暑がりの方、身体に炎症がある場合は摂取を控えましょう。
上記の食材は、今回紹介した「たこの白ねぎ大葉ソース・温カルパッチョ」にすべて入って いますので是非、作ってみてくださいね!
ドクターからの一言
春に起こりやすい症状として、下記の症状が現れることがあります。
1. 疲れやすい、やる気が出ない、集中力が低下する、頭痛やめまいがする。
2. 手足の冷え、肩こり、生理不順、肌荒れ。
3. むくみ、だるさ、体が重く感じる、尿量の変化。
これらの不調は、それぞれが独立して現れるのではなく、互いに関連し合っています。これら の症状の原因となっている、気の滞りは血の巡りを悪くし、水分代謝にも影響を及ぼします。 したがって改善治療は、それぞれの症状に個別に対処するだけでなく、全体的なバランスを整 えることが重要です。
春の変わり目に漢方を取り入れることで、気血水のバランスを整え、体調を維持することができます。
ただし、漢方は個人の体質や症状に合わせて使用することが大切なので、自己判断せずに当院 のドクターのような専門医の診察を受けることをお勧めします。
今回、ご紹介した薬膳レシピは、当院の古川先生が実施しています。古川先生の診察は、 黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで受けられます。土曜日も診察可 能ですので、落ち込みやすさやメンタルの不調、だるさで困っている方は、この機会にぜひ、お問い合わせください。
★保険についてのご質問や、どの先生に診てもらえばいいどの?漢方薬は苦い の?など、なんでもご質問ください!
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2025年04月08日
身体を温める!3 月の薬膳料理をご紹介
「中国4千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理」シリーズ第三十二弾!
3月、今回の薬膳料理レシピは、「身体を温める」がテーマです。
冬の邪気である寒邪は、五臓で言うところの腎を傷めやすいので、冬の養生は腎を養い、 体を温め、乾燥に注意し、 質の良い睡眠をしっかりとることが大切です。
腎とは、吸い込んだ気を納め、臓腑を温める働きがあります。また、腎は水を司っており、 体内の水分代謝にも深く関わっているため、腎を傷めると、 むくみ、冷え、耳鳴り、難 聴、めまい、下痢、便秘、頻尿、尿漏れ等のトラブルがあらわれます。
冬の養生キーワードは、 『体を温め、ちゃんと休む』 です!
「薬膳」と聞くとてもハードルが高いイメージがありますが、季節や体質・体調を考慮し て、ふだんからの食材の特性や組み合わせ流ことも、立派な「薬膳」料理です。
難しい材料を使わず、普段の食材の組み合わせを工夫するだけで、いつもの食材が 「薬膳」に!
さあ、「腎」を補う薬膳料理で、寒邪の季節に備えましょう!
身体を温める「薬膳和食」レシピ
「ローズマリー香る鮭のホイル焼き」
【材料】
サケ切り身 約200g
たまねぎ 100g
いんげん 4本
カボス 小2個
オリーブオイル
大さじ2
塩コショウ 適量
ローズマリー 適量
【作り方】
❶ サケの裏表に塩コショウを適量ふり、なじませます。
※塩サケであれば塩は振らなくても大丈夫です
❷アルミホイルに、オリーブオイルを少量塗り、上にサケを置きます。
❸サケの真ん中にカボスの輪切りをのせ、上からスライスしたたまねぎと、 いんげん2 本をのせ、カボス果汁を絞り入れ、 最後に上からオリーブオイルを回しかけます。
❹ローズマリーをのせたらアルミホイルで包み込みます。
❺オーブントースターの天板にのせ、250°Cで約20分焼いたら、皿に取り出します。
❻仕上げに好みによって塩を振りかけたら出来上がり!
※焼き方は、オーブントースターでなくても、ご家庭の調理器具(オーブン)に合わせてやりやすい方法で調理してください
古川先生による薬膳食材講座
今回、レシピ監修をされた古川先生に、身体を温める効果のある食材を教えてもらいまし た。以下の食材は、今回紹介した薬膳和食レシピにも入っているので、是非、作ってみてくださいね!
【冬にお勧めの食材】
鮭
鮭は、身体を温め冷えを改善する効果があります。特に胃腸を温める働きがあるので、冷 え症で手足が冷たくなる人や、同時にお腹も痛くなることが多い人には、効果的な食材で す。基本的に虚寒証の人に効果的な食材で、紫蘇やねぎなど温性の野菜と一緒に食するとさらに効果的です。
いんげん
気を補い臓腑を助ける効果があります。また、消化吸収力を高め、水液代謝を改善し、余分 な水分を尿で排泄してむくみをとる作用もあります。なので、この野菜は胃腸が弱く、むくみがちなタイプの方に向いています。 気虚タイプ 、 胃腸虚弱でむくみがちの方はインゲンをお料理に使うと良いでしょう。 ただしお腹が張りやすい人は、避けた方が良い食材です。
たまねぎ
たまねぎは、気を巡らせ、身体を温める作用があるとされています。生のときは辛く、加熱すると甘くなるのが特徴です。 独特の辛味は硫化アリルという成分で、新陳代謝を活発にして、疲労回復を促す働きがあります。 体内の余分なナトリウムを排出して、高血圧や動脈硬化を予防する効果も期待できます。 胃の働きを高めるので、消化促進や胃もたれの改善にも いいでしょう。
ドクターからの一言
今の季節は下記のような症状が出る方がいらっしゃいます。
◆下半身の冷え(特に下腹部や腰、お尻、足)
◆足腰、膝のだるさや痛み、しびれ
◆頻尿、夜間尿
◆代謝の低下(痩せにくい)
これらは、中医学では、冷えによって腎陽が弱り、腎の働きそのものに影響が出てきている場 合の症状と考えます。また冷えると血流が低下するため、その影響による症状も顕著になって きます。
腎陰の減少は、他にも下記のようなさまざまな形で症状に現れます。
◆手足や顔のほてり、寝汗
◆記憶力低下
◆不眠、気鬱
◆耳鳴り、めまい
こういった症状に心当たりのある方や、体調がすぐれない方は、漢方薬がお勧めです。 しかし、体質によって選択される漢方薬は異なりますので、お悩みの方は当院のドクターに相 談してみてください。今年の春、夏を元気に過ごすためにも、今、冬に身体を温め、エネルギ ーを蓄えておくことは大切ですので、是非、漢方で体質改善をしましょう。
★保険についてのご質問や、どの先生に診てもらえばいいどの?漢方薬は苦い の?など、なんでもご質問ください!
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2025年03月04日
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