中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
乾燥に!潤いを与える!11 月の薬膳和食
「中国4千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理」シリーズ第三十一弾!
11月、今回の薬膳料理レシピは、「乾燥の季節に潤いを与える」がテーマです。
11 月というと、秋から冬へとだんだん季節が移ろいでいく時季。日中の気温もぐっと低 くなり、空気の乾燥も気になってきます。ウイルスが飛散しやすく、同時に喉や鼻の粘膜が乾燥することで、体調を崩し風邪をひきやすい時季でもあります。これからますます強まる寒さや乾燥に備えて、体のコンディションを万全に整えておきましょう。
今回は乾燥対策にぴったりの潤い食材をたっぷり使用した、ヘルシーでシンプルな薬膳和 食2種類をご紹介します。
「薬膳」と聞くとてもハードルが高いイメージがありますが、季節や体質・体調を考慮し て、ふだんからの食材の特性や組み合わせ流ことも、立派な「薬膳」料理です。
難しい材料を使わず、普段の食材の組み合わせを工夫するだけで、いつもの食材が 「薬膳」に!
さあ、「潤い」を補う薬膳料理で、乾燥の季節に備えましょう!
潤いを補う!「薬膳和食」レシピ①「きのこと鶏肉の炊き込みご飯」
【材料】(4人分)
米 ・・・・・ 1 合
ヨクイニン(ハト麦)・・・ 1 合
※ない場合はお米 2 合でも大丈夫です。
椎茸 ・・・・・ 50g
しめじ ・・・・・ 50g
鶏ひき肉 ・・・・・ 100g
銀杏(ぎんなん) ・・・・・ 8 粒程度(水煮を使用)
みりん ・・・・・ 大さじ 1
醤油 ・・・・・ 大さじ 2
酒 ・・・・・ 大さじ 1
生姜 ・・・・・ ひとかけ
【作り方】
❶ 米とヨクイニンをといで炊飯器に入れ、2 合の目盛りから大さじ 2 杯程度減らした 量の水を入れます。 ※ヨクイニンをいれる場合は、6時間以上、この状態で置いてから下記の調理に入ります。
❷キノコ類は手で小さく割く。生姜は千切りにします。
❸❶に❷と鶏のひき肉、銀杏、みりん、醤油、酒を加えて炊飯します。
❹炊き上がり!
蒸らしている間にもう一品
潤いを補う!「薬膳和食」レシピ②「秋の野菜たっぷり豆乳汁」
【材料】(4人分)
昆布出汁 ・・・・・ 400cc(昆布 15cm 程度)
※市販の出汁パックでも代用もできます。
豆乳 ・・・・・ 400cc
ニンジン・大根・えのき ・・・・・ 各 60g 程度
里芋 ・・・・・ 4 個
白だし醤油 ・・・・・ 大さじ 2(なければ薄口醤油でも代用可)
みりん ・・・・・ 小さじ 2
【作り方】
❶ 昆布であらかじめ出汁をとっておきます。
❷ニンジンは細切り、大根は薄く扇形に切り、里芋は皮をむき食べやすい大きさに切っ ておきます。えのきは軸を切ってから半分に切ります。
❸全ての材料を❶の出汁で 5 分程度煮込みます。
❹炊き上がり!白だし醤油、みりんを加え、最後に豆乳を入れて温めれば完成。
先ほど作った「きのこと鶏肉の炊き込みご飯」と一緒に盛り付けましょう。
【ワンポイントアドバイス】
白だし醤油とみりんの代わりに、白みそを入れるとより濃厚な豆乳汁になります。
古川先生による薬膳食材講座
今回、レシピ監修をされた古川先生に、身体を潤す効果のある食材を教えてもらいました。
【秋冬にお勧めの食材】
豆乳
豆乳は、体に潤いを補うとされる白い食材。大豆として摂取するよりもタンパク質の消化 吸収率が高まります。また、豆乳は咳を鎮め、痰を取り除く「鎮咳化痰」の効能があるの で風邪を引いた時にも積極的に摂取できる食材です。他にも豆乳は口が渇く、肌が乾燥するといった方にも良い食材です。
里芋
これも体に潤いを補うとされる白い食材です。12 月に出荷の最盛期を迎えます。胃腸を 補うはたらきがあり、胃腸の消化をよくしエネルギー吸収を高めてくれます 。なので胃 腸 のトラブルが多く出やすい、脾虚の体質の方は、積極的に摂りたい食材です。また、胃腸の緊張を緩和して働きを向上し、高血圧の予防、むくみ解消や痰を切る働きがあるといわれています。
きのこ
免疫力を高めてくれる食材です。また五臓六腑を癒すはたらきがあるとされ、元気がない、疲れやすい、倦怠無力感、食欲不振など気の働きが不足 しているときに有効な食材です。 高血圧や動脈硬化の予防、コレステロールの抑制、便秘の予防にも効果的な食材と言われています。
上記の食材は、今回紹介した2つの薬膳和食レシピにも入っているので、是非、作ってみてくださいね!
ドクターからの一言
乾燥に備えて!この季節の養生法を!
この季節の養生で、気を付けたいのは、喉や鼻などの外気に直接触れる器官、そして寒さに弱 い腎(膀胱)です。喉や鼻の粘膜は特に乾燥に弱いところです。また、皮膚も乾燥するとひび 割れやかゆみなどの原因にもなります。粘膜や皮膚を潤し、乾燥を防ぐことを心がけましょう。 乾燥で喉に痛みが生じたら、「銀耳雪梨」がお薦め。
銀耳雪梨(イメージ)
またナシの芯の部分をくり抜き、くり抜いた部分にハチミツと漢方薬を入れて煮ます。痰が出 る場合はスライスしたショウガをくり抜いたところに数枚入れて一緒に煮てください。ハチミ ツは喉を潤し、ショウガは痰を取り除く働きがあります。マスクを着けて寝るのもお勧めです。 また、この季節に冷えは禁物。冷たいものや体を冷やすものは、ショウガなど体を温める食材 と一緒に取りましょう。
咳・鼻水が止まらない、乾燥した肌の痒みが治まらない、といった症状になった場合 は、クリニックに早めに相談してください。早期に漢方で治療すると、長引くこともあ りません。しっかりと治療すれば体質の改善にもつながります。
まずはご相談ください。
今回、レシピ監修をされた古川先生の診察は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで受けられます。
土曜日でも診察が可能ですので、この時期の乾燥や風邪症状でお悩みの方は、西洋治療や薬膳にも詳しい古川先生に一度相談してみてください。
お問い合わせをお待ちしています。
★保険についてのご質問や、どの先生に診てもらえばいいどの?漢方薬は苦い の?など、なんでもご質問ください!
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2024年11月19日
風邪に感染後の長引く咳、鼻炎には漢方が有効です!
風邪を引いた後、こんな症状が残っていませんか?
□ 咳がずっと止まらない
□ 倦怠感が残り、すごく疲れやすくなった
□ 鼻水、鼻づまりが続いている
実は、感染症は、漢方薬が最も威力を発揮する分野なのです~
風邪に感染した後、咳がずっと続く、鼻水や鼻詰まりに悩まされているという人も多く、 当院にご相談に来られる方もたくさんいます。
「感染症に漢方薬?感染症の治療は、速効性のある西洋薬じゃないと無理でしょ」 「漢方薬でのんびり体質改善している場合じゃないでしょう?」
そうした思いを抱かれた人も、少なくないでしょう。
漢方では風邪を引いた後のこれらの症状は「余熱」や「脾虚症候群」が原因と考えます。 風邪の後に残る症状を根本的に改善するための漢方処方があり、今までの患者さんにはそれが良く効いています。
今回は、古川先生が実際に処方して成功している「風邪感染後の症状改善」について、 症状別に解説してもらいました。
咳が止まらない
痰が気管に絡みそれを排出するために咳が出るタイプ、気管に炎症が残っているため咳が 出るタイプの二種類が考えられます。
ウイルスで損傷された組織とウイルスの残骸が痰として排泄される前者のタイプの人には 「止咳化痰の生薬」を主に調合します。細胞損傷や免疫の過剰反応などが原因で気管の粘 膜に炎症が残り、それが刺激となって咳になるタイプの人には、「組織を修復する活血の 生薬」「免疫反応の乱れを調節する生薬」を主に調合します。
タイプ別に調合する生薬を細かく調節していくので、市販の咳止め薬でも咳が止まらない 人でも、早期改善が可能なのです。
鼻水鼻詰まり
鼻水は排泄される痰の色や質で生薬を調合します。次に鼻詰まりには細かく、炎症が残っ ているタイプ、粘膜が浮腫んでいる虚弱体質のタイプ、血流が悪く鼻腔が乾いているタイ プ、便秘や下痢などで腸に問題があるタイプ、心臓が悪く足が浮腫むタイプなど、様々な 原因が関係しているので、それぞれのタイプ別に生薬を調合して治療します。
鼻詰まりは、疲れや睡眠の質の低下にも影響するため、早めに積極的に治したい症状です。
疲れが取れない
風邪やインフルエンザ感染時に、高熱のため解熱剤を服用したり、その他の薬物を摂取し たため、胃腸の働きが乱れる人が多く、また、感染中に下痢などの症状があり直接胃腸を 損傷してしまっている方も多く診られます。このような方々は、感染後の「脾虚症候群」 という状態になっていることが多く、消化吸収が上手くいかないため体力回復に長い時間 を要してしまいます。舌の上に白い苔や汚れがある人はこのタイプです。もともと、感染 中は体力を奪われる状態が続いているにも関わらず、喉の痛みや高熱のため、食事もうま く摂れないまま、胃腸の調子も乱れると、慢性的な疲労が蓄積していきます。
このような場合は、胃腸を調節する生薬を主に調合し、体力をつける滋養強壮の生薬を調 合し、早期に体力が戻るように補っていきます。
★医師からの一言★
風邪やインフルエンザ感染症後の残ってしまった症状は、早期に治療すればするほど治療 効果は期待できます。長期に抗生物質を使用したり、咳止めや鼻炎の薬を服用すると、胃 腸の負担が多くなり、逆に回復まで非常に長い時間がかかると考えられます。
熱が下がった状態でも、上記のような症状がある場合は、症状を長引かせないためにも、 すぐにでも漢方薬治療を始めることが大切です。
★漢方豆知識「傷寒論」★
そもそも漢方は感染症のパンデミックを抑え込む薬として生み出されました。1800 年 前に書かれた『傷寒論(しょうかんろん)』は中国伝統医学の有名な古典ですが、こ れは漢方薬初の“感染症治療マニュアル”とも呼べるもの。感染症の脅威を目の当たり にした、張仲景という医師が、病に立ち向かおうとして編纂したものです。
傷寒とは、今でいうインフルエンザや新型コロナのような急性熱性疾患を指します。 『傷寒論』の序文には、当時のこんな記述が残されています。
「わが一族は以前、2 百余名もいたが、建安元年(西暦 196 年)から 10 年足らずの 間に 3 分の 2 が死亡した。このうち傷寒病で死んだ者が 7 割を占めている」
このとき猛威を振るったのは、インフルエンザやチフス、マラリアのような感染症 だったのではないかと考えられています。そこで、張仲景医師は一大決心をして先人 の経験や教訓、多くの医師や民間の療法を研究・収集して、傷寒論を書き上げたのだ と言われています。
傷寒論の中には、現在もよく知られている葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおう とう)、小柴胡湯(しょうさいことう)、また前述の芍薬甘草湯や小青竜湯も登場し ています。つまり、漢方薬は現代に至るまで脈々と受け継がれ、1800 年もの使用実績 があるということです。
例えば、1918 年から始まったスペイン風邪のパンデミック。日本でも多くの感染者や 死亡者を出しましたが、ここでも漢方が効果を発揮したケースがありました。その時 もある著名な漢方医は傷寒論をはじめとした漢方処方を駆使して、自身の患者を一人 も死なせなかったという逸話も残っています。
今回、ご紹介した「長引く咳や鼻炎症状の改善」は、当院の古川先生が実施し ています。古川先生の診察は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで 受けられます。
土曜日でも診察が可能ですので、風邪を引いた後に咳や鼻炎症状がなかなか治らない 方は、西洋治療や薬膳にも詳しい古川先生に一度相談してみてください。 お問い合わせをお待ちしています。
★保険についてのご質問や、治療期間はどのくらいかかるの?漢方薬は苦いの?
など、なんでもご質問ください!
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2024年10月22日
肺を潤し、気を補う!10月の薬膳レシピ
「中国4千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理」シリーズ第三十弾!
10月の薬膳レシピは、夏に消耗した「気を補い、肺を潤す薬膳」がテーマです。
「薬膳」と聞くととてもハードルが高いイメージがありますが、季節や体質・体調を考慮して、ふだんからの食材の特性を組み合わせることも、立派な「薬膳」です。
難しい材料を使わず、普段の食材の組み合わせを工夫するだけで、いつも食材が「薬膳」に!
さあ、「肺を潤し、気を補う食材」を使って、「秋の養生」」をしましょう!
肺を潤し気を補う!薬膳レシピ
サバと小松菜の生姜風炒め
サバには気を補う作用の他に、血液をサラサラにする効果もあります。身体を潤す作用のある小松菜と辛味のある生姜を合わせた、滋養たっぷりの一品です。
【材料】(2人分)
・サバ(切り身。骨は抜いておく)……………180g
小松菜……………4 株(150g)
ねぎ……………1/2 本
小麦粉. ……………..適量
オリーブオイル……………大さじ 1
生姜……………5g
酒……………大さじ 1
しょうゆ……………大さじ 1/2
みりん. …………….大さじ 1/2
■A
酒……………大さじ 1
しょうゆ…………….大さじ 1
生姜汁……………大さじ 1/2
作り方
(下ごしらえ)
サバは骨を抜いて、A に5~10分くらい漬けておきます。
❶ 小松菜は 3cm の長さに切り、ねぎは斜め薄切りにします。
❷サバを一口大に切り、汁気を切って小麦粉をまぶします。
❸フライパンにオリーブオイルを熱し、千切りした生姜を入れて香りが出るまで炒めたら、 サバを加えて両面、色よく焼きます。
❹サバを端に寄せ、先に小松菜の軸を炒め、ねぎを加えて軽く炒めたらサバを戻し、小松 菜の葉を入れ、酒を振り、蓋をして 30 秒蒸らします。
❺❹のフライパンに、しょうゆ、みりんを回しかけ、全体に混ぜ合わせてます。
❻出来上がり!
古川先生による「秋の養生に役立つ」薬膳食材講座
今回、レシピ監修をされた古川先生に、「秋に摂りたい」食材を教えてもらいました。 これから紹介する食材は、今回紹介した「サバと小松菜の生姜風炒め」の中にも入ってい るので、是非、作ってみてくださいね。
サバ(鯖)
鯖は気と血を補う作用があります。なので、色は蒼白く、体がだるい、めまいや立ちくらみを起こしやすく、寒がり、しびれを感じるような、気虚証や血虚証の方におすすめです。
専門的には鯖は「肺」と「脾」に作用するので、肺の気が不足して咳が出る時、脾が弱り消化不良の時などにも良いでしょう。さらに、サバやサンマなどの秋に旬を迎える魚には、 ビタミン・ミネラルが豊富に含まれているため、寒くなるこれからの季節に向けての養生 に積極的に摂りたい食材です。
小松菜
小松菜は、滋陰作用があり、身体の津液を補うため、鼻や喉の乾燥を防ぐ効果がります。 なので、風邪の予防、特に空咳のある方にお勧めする食材です。また、小松菜は食物繊維 が豊富で「通利胃腸」作用があるので。胃腸の働きを改善し、便秘の時には通便を促して くれます。小松菜は豆腐と合わせて一緒にスープや味噌汁として、適量を食べることをお勧めします。
生姜
夏から秋にかけて突然冷たい風が吹き、鼻水が出たり、お腹が冷えて痛くなった時などは、 発汗、胃腸を温める作用がある「生姜湯」がお勧め。生の生姜は辛味があるため。胃に刺 激を感じる場合には、蜂蜜を加えるとマイルドになります。
古川先生からの一言
秋の養生には、夏に消耗した気と潤いを補うことが大切です。夏は汗をかくため身体のミネラルが欠乏し、体液が少なくなります。また秋になると「乾燥」の季節を迎えるので、 さらに体液を消耗してしまいます。特に空気が乾燥して気温も低くなる、中秋から晩秋に かけては「肺」を潤すことが重要になってきます。
さらに、秋は冬に向けて身体にエネルギーを蓄えることも重要なポイント。中医学養生の 考え方では10月に滋養強壮の甘い薬(膏方)を服用する習慣があります。「甘味」は身 体を補う作用、そして「酸味」には収斂(しゅうれん)作用があり、エネルギーを体にと どめてくれます。
秋になると喘息になる方、空咳が続く方は、早めにご相談に来てください。秋口、早い時 期から改善の漢方を服用すると、症状が悪化せずに早く治療が進みます。
今回、レシピ監修をされた古川先生の診察は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで受けられます。
土曜日でも診察が可能ですので、季節の変り目の不調でお悩みの方は、西洋治療や薬 膳にも詳しい古川先生に一度相談してみてください。
お問い合わせをお待ちしています。
★保険についてのご質問や、どの先生に診てもらえばいいどの?漢方薬は苦い の?など、なんでもご質問ください!
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2024年10月08日
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