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3/20 春分の日企画!「肝」をいたわる薬膳料理レシピ
中国4千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理」シリーズ第五弾!
3月の薬膳料理レシピは、春の季節に大切な「肝の養生」がテーマです。
中医学では、春は「肝」へのダメージが大きくなるといわれています。「肝」は自律神経 のバランスを調整したり、解毒や排毒の調整などを行っている臓器なので、「肝」がダメ ージを受けると、心と身体に様々な不調が現れます。また春の季節は、まだまだ風も強く 寒暖差が激しいため、身体や心に悪影響を及ぼす「風邪(ふうじゃ)」が原因で、頭痛、 花粉症、皮膚のかゆみなどが悪化する事があります。
「肝」を補う薬膳料理で「イライラ」改善対策
漢方理論の一つ「五行学説」では、季節は、肝臓・心臓・ひ臓・肺・腎臓の5つの内臓に 関連していて、「五味五色」という考えがあります。「五色」は緑、赤、黄、白、黒。 「五味」は酸味、苦味、甘味、辛味、しょっぱさです。また、「肝臓」は感情をコントロ ールする臓器でもあるので、肝臓が弱り熱を持ってくるとイライラしやすくなってきます。
五行学説では、春のこの時期は「肝をいたわらなくてはいけない」季節にあたり、肝臓に優しい食材は、五味五色で言うと緑色の食材と酸味のある食材となります。
難しい材料を使わず、普段の食材の組み合わせを工夫するだけで、いつもの食材が 「薬膳」に!
さぁ、これからのやってくる春の季節の不調に備えて「薬膳料理」を楽しみましょう!
「肝」に効く、イライラを抑えるレシピ
「あさりと菜の花のボンゴレスパゲッティ」
調理時間: 15分
材料 (2人分)
あさり(殻付き)・・・ 350g 菜の花・・・・ 1/2束 白ワイン・・・ 70cc
(白ワインがなければ、日本酒や調理酒でも代用できます)
オリーブオイル・・・大さじ4 にんにく・・・・ 1 かけ
唐辛子(輪切り)・・・ 2本
バター・・・ 10g
パセリ(みじん切り)・・・適量
大葉・・・ 3枚 パスタ・・・ 180g
★菜の花は、今の季節のお野菜です。今の季節は、上海でも「春花」としてスーパーの店 頭に並んでいます。
(菜の花売り場)
(下ごしらえ)
★500mlの水に大さじ1の塩を入れます。この塩水をあさりの頭が少し見えるくらいまでかぶぜ、暗いところで2時間以上おいて、砂抜きをします。
【つくり方】
①菜の花は葉と茎とで半分に切り、茎が太い場合は縦半分にさらに切ります。
②にんにくは芯の部分を取り、スライスします。
③大葉は千切りに、唐辛子は輪切りにします。
④フライパンにオリーブオイルとにんにくスライスを入れ、弱火で炒めていく。オリーブオイルが冷たいところににんにくを入れるのがコツです。
⑤にんにくに香りが出たら、唐辛子を入れ、殻をよく洗ったあさりと白ワインを入れて、 強火で蓋をします。
⑥あさりの殻が空いてきたら、あさりをフライパンから取り出しておきます(あさりの身が硬くなるのを防ぐため)フライパンのソースはそのまま残しておきます。
⑦別の鍋を用意し、たっぷりのお湯に塩を入れて、パスタをゆでます。
⑧パスタの袋に書いてある茹で時間の1分前になったら、パスタを茹でているお鍋に菜の花の芯→菜の花の葉の部分の順に入れ、一緒に1分間ゆでます。
⑨アサリを取り出した6のフライパンのソースにパセリとバターを加え、弱火で温めます。
⑩茹でたパスタと菜の花と、あさりを一緒にフライパンに入れて、全体にソースを絡めます。
⑪お皿に盛り付けて、全体に千切りの紫蘇を散らしたら出来上がり!
古川先生による「肝の養生」の薬膳食材講座
今回、レシピ監修をされた古川先生に、肝臓をいたわる食材を教えてもらいました。
あさり
アサリには豊富なミネラルがたっぷり入っています。カルシウムやカリウム、亜鉛、鉄な ど、ビタミン B12 の含有量は、貝類の中で No.1 だとか!中医学では、肺の頑固な痰を軟 らかくし排泄する作用や胃酸をコントロール効果もあります。汗をかきやすく、皮膚がかぶれやすい人にもお勧めの食材です。
菜の花(緑色の野菜)
菜の花は「アブラナ」のことで、なたね油は菜の花の種からできます。黄色い花は春を感じさせる風景です。春の季節に貧血などで眩暈が起きやすい人は、「鉄分」や「葉酸」を 多く含む菜の花がお勧め。身体を温める野菜なので、春の冷たい風で膝が冷える人にもい いでしょう。ただし、口内炎や皮膚炎がある人は少なめに摂取してください。また、緑の 野菜は肝臓をきれいにすると考えられています。旬の春キャベツやニラなどもおすすめです。飲み物でも春分の日から緑茶も飲み始めましょう。
紫蘇(苦みがあり香りのよい食材)
香りのよい山菜や緑の野菜類(セリ、大葉(紫蘇)、クレソンなど)は、春に起こりやす い花粉症やアレルギー症状や、皮膚のかゆみを抑えてくれる効果があると言われています。 また中国では、アクの強い食材(緑の山菜、タラの芽、フキノトウ、ゼンマイなど)を食 べると体内のアク(毒素)を排除してくれると考えられています。「毒をもって毒を制す」ということわざのとおりです。
梅干し
お肉やお酒を多く摂取すると、血がドロドロになり血行不良などを引き起こす原因にもなります。「梅干し」の中に含まれるクエン酸は、このような血行不良の身体を中和する作 用があり、疲労物質である乳酸を分解する機能があります。また、筋肉等に蓄積した老廃 物も排泄させるため、「こむらがえり」などの予防にも良い食材です。また、酸味のある食材(かんきつ類、ウメ、イチゴ、キウイ、パイナップルなど)は、肝臓を元気にすると考えられています。
タンパク質豊富な食材(お肉、お魚、豆腐、納豆、豆乳など)
肝臓の栄養素となるタンパク質を十分に摂ることも大切です。お肉、お魚などの動物性た んぱく質と、豆腐、納豆、豆乳などの植物性タンパク質の、両方をバランスよく摂るようにしましょう。日ごろからストレスがある方、お酒を飲んでいる方は、普段から肝臓に負 担がかかっているので、特にこのようなタンパク質を多く含む食材を摂取するように心がけましょう。
上記の食材の一部は、今回紹介した「あさりと菜の花のボンゴレスパゲッティ」にも入っ ているので、肝を休ませるためにも、是非、作ってみてくださいね!
中国に昔から伝わる春の養生まめ知識
冬は寒さから体を動かす機会や外出時間が減り、運動不足になりがちです。中国のおばあちゃんから「人間も冬は“半冬眠状態”になるよ」という例えをよく聞きます。中医学的にも冬は、人間の身体は寒いとエネルギーをできるだけ使わないようにするので、血液循環も遅くなり、ほかの季節よりも解毒が遅れると考えます。そのため、免疫力が低下し、冬場は寒さと乾燥で風邪をひきやすくなるのです。
しかし、3月20日の「春分の日」を境に、大地の中に暖かさが徐々に生じ、人間の体も目覚め、血の循環が速くなり内臓の動きも活発になります。また11月初旬の立冬から約4か月もの間に身体にたまった毒素を解毒して体外に出そうとする時期なので、肝臓がフル回転し、冬よりより負荷がかかります。そのため、「春は肝臓が弱りがちな季節だ」と伝えられていきました。
立春を過ぎたら、ほかの季節よりも早寝早起きを心がけてください。中医学理論では夜中 の1時から3時に、肝臓が修復されると考えられています。遅くても12時半くらいには布 団に入り、夜中の1時から3時には熟睡するのがおすすめです。また、5月初旬の立夏を迎えるまでお酒を控えめにしましょう。
今回、レシピ監修をされた古川先生は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜20:00まで受けられます。
土曜日でも診察が可能ですので、心身の不調や春先の風邪症状でお悩みの方は、西洋治療や薬膳にも詳しい古川先生に一度相談してみてください。
お問い合わせをお待ちしています。
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2021年03月15日