中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
尋常じゃない「汗っかき」「寝汗」… 夏本番が来るまでに改善しよう!
「普段からそう暑いわけでもないのにとにかく体から汗が噴き出てしまって困る」
「スマホが水没してしまうのではないかというくらい手汗が止まらない」
「寝汗で朝起きると布団がぐっしょり」
…そんな汗っかきさんにはつらい夏本番が、これからやってきます。
今年の夏を快適に過ごすためにも、この汗っかき、寝汗を改善したいものです。今日は、そんな汗かき(多汗症)や寝汗を、漢方ではどのように治療しているかをご紹介 します。
汗はどうして出るの?
外気の気温上昇や運動をしたときに体温が上がり、体温調節を担っている脳の視床下部で、「体温上昇」の情報をキャッチすると、脳は汗腺に「発汗」命令を出します。
このように「汗」には、体内の熱を皮膚から蒸発させ体温コントロールをしていく重 要な役割がありますが、その他にも、緊張したときに出る汗「精神性発汗」、辛い物 を食べたときに出る汗「味覚性発汗」もあります。一般的には、発汗の引きがねにな る刺激が減り、自然に汗が止まれば正常な状態と考えられます。
では、どうして汗がとまらないの?
中医学的に考えてみましょう。中医学では「汗証」という病名があり、「自汗」と「盗汗(寝汗)」に分けています。
「自汗」とは。特に要因が無い状態でも昼、夜問わず汗が出る状態で、特に身体を動かしている時に激しくなるのが特徴です。
また「盗汗」とは、いわゆる寝汗のことです。言葉のとおり睡眠時に汗をかきます。 しかし目が覚めると汗が止まるのが特徴です。
つまり、尋常ではない「汗かき」は、中医学では「病気」としてとらえ早めに治療す べき状態なのです。特に「寝汗」は西洋の医学の膠原病、甲状腺機能亢進症、糖尿病、結核感染症などの症状として診られることがあるため留意していかなければなりませ ん。
汗が止まらない原因は?
汗は中医学では心臓と関係しているとされています。
中医学の医学古文書《黄帝内経》の中に「五臓化液、心為汗」という文献があり、直 訳すると「五臓が液に変化する、心の液は汗となす」となり、心臓に負担がある場合、 汗として身体から水分を出すことにより体温や心臓の負担を調節しているのだということです。つまり、尋常ではない汗かきの人は「心臓の機能に負担がかかりすぎてい る」ことが原因で汗を多くかくようになるようです。
例えば、急激に太ってしまった方は、身体は大きくなるのに、心臓は握りこぶし1つ分の大きさのままなので、身体全体を動かす血液の供給をする心臓に負担がかかり、 汗を多くかくようになります。
「汗かき(多汗症)」の治療法
中医学では以下の2つの方法を同時に行い、漢方で治療してきます。
★心臓の負担を減らす
・血の流れを良くする「活血」の漢方で、汗を減らしていく
・漢方で感情のコントロールを助け、感情の起伏を穏やかにする
・体重のコントロールを指導し、心臓の負担と汗を減らしていく
★心臓の機能を回復する
・漢方で睡眠の質をコントロールし、心臓を休ませる
・「黄耆」「霊芝」「苦参」などの漢方の組み合わせで、心臓に栄養を与え心臓の機 能の回復をはかる
・夜の飲酒量や食事量を減らし、心臓を休ませてもらうように指導する
寝汗の原因は?
男性に多い「ストレス」によるホルモンの変動、女性に多い「月経前症候群」や「更 年期障害」等のホルモンの変動によって、身体の調節機能が限界を超えると、交感神 経と副交感神経の切り替わり機能がうまくいかなくなり「寝汗」をかくことが多くな ります。
また、慢性の炎症や栄養ミネラル不足により、五臓や特に「心臓」に栄養がいきわた らず「寝汗」をかくことになります。
両者共に、慢性的に身体が消耗してしまう状態のため、持病の方は病気が進行してしまい、未病の方はこれから何らかの病気を発症しまう可能性もあります。
「寝汗」の治療法
中医学では「寝汗」を病理的な機能障害と考え、血虚、陰虚の2タイプに分類し漢方 で治療してきます。
①心血不足(血虚タイプ)
悩みごとが多い人によくあるタイプです。悩みが多いと「心血」の消耗が激しくなり、 また胃腸の働きにも悪影響がでてくるため、消化吸収もうまくいかなくなり「血虚」 栄養不足状態になるのが原因です。
②陰虚内熱(陰虚タイプ)
毎晩晩酌をされる方、夜寝るのが遅い方、辛い物が好きな方に多いタイプ。常に身体 に熱が溜まっている状態なので、身体を冷やし潤す「陰精」が消耗していることが原 因です。
ドクターからの一言
「寝汗」をかく人は、慢性的な「睡眠の質の低下」が診られます。夜しっかり眠れて いないと、仕事の質や効率に影響が出ることがあるので、30~50 代の多忙な男性は、 とくに「寝汗」の原因を究明し積極的にコントロールしていきましょう。
また「多汗症」や「寝汗」は病気になる前の、なんらかの身体の機能障害が出ている サインです。なので、早めに漢方で治療されることをお勧めします。治療をすれば、 根本的に体質も健康体に改善していくので、単なる「汗かき」と思わず、まずは相談 してみてください。きっとこの夏は楽になるはずです。
今回ご紹介した「汗っかき・寝汗の改善」は当院の古川先生が実施しています。 古川先生の診察は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで受けられま す。
土曜日でも診察が可能ですので、多汗症や寝汗でお悩みの方は、西洋治療や薬膳にも 詳しい古川先生に一度相談してみてください。
お問い合わせをお待ちしています。
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- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2021年06月21日