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寒さ対策!「胃腸」に効く「カンタン!薬膳料理」
中国4千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理」シリーズ第三弾!
1月の今回の薬膳料理レシピは、先月に引き続き寒さ対策に重要な「胃腸の養生」がテー マです。
寒さで体が縮こまり、年末年始のごちそうで胃腸は疲れ気味。それに加え、寒気にあたると胃が痛くなる方や、冬場に下痢が多くなる男性、寒さに伴って生理痛がひどくなる女性の方にも、ぜひ参考にしてもらいたい「薬膳料理」です。
「胃腸」を温める薬膳料理で「寒さ」対策
薬膳とは、中国の伝統医学の理論に基づき、自然界にある生薬と、薬効のある食材を取り合わせた料理のこと。効能のある食材を使うだけでなく、体の仕組みや季節による変化、陰陽五行学説など、様々な考えからできています。食卓に並べるには難しいイメージもある薬膳料理ですが、特別な生薬や薬草を用意しなくても大丈夫!
難しい材料を使わず、普段の食材の組み合わせを工夫するだけで、いつもの食材が「薬膳」に!
さあ、寒さ対策に、これからやってくる寒気に備えて「薬膳料理」で胃腸を温めましょう!
寒さに効く、胃腸を温めるレシピ
「はと麦入り手羽とちんげん菜のスープ」
<調理時間> 下ごしらえ15分+煮込み15分
※はと麦は前日の夜に水で洗って、ひたひたの水に浸しておきます。
材料 (2人分)
・鶏手羽・・・ 4本
・チンゲン菜・・・ 1株
・はと麦・・・ 50g
・生姜(薄切り)…4枚
・酒・・・大さじ1
・水・・・カップ2強
・鶏がらスープの素・・・小さじ 1/2
・しょうゆ・・・大さじ 1/2
・塩・・・少々
【つくり方】
(下ごしらえ)
①手羽は洗って水けを拭き、先端と手羽中に切り分け、酒大さじ1強(分量外)をふりかけておく。
②前日の夜に水にひたしておいたはと麦を、沸騰したお湯で15分煮ます。
③チンゲン菜は1枚ずつはがして、葉と軸の部分に分ける。軸は縦にして8mmの薄切り、葉はザク切りにする。
④油を薄くひいたフライパンに1の手羽を加え、両面に焼き色が付くように中火で焼く。焼き色がついたらお湯(分量外)を回しかけ、火を止めて湯を捨てる。
POINT
手羽は焼くことで、だしが出ます。また、湯を回しかけることで、油っぽさとあくが取れます
(煮込み)
⑤鍋に④の手羽と生姜、酒、水カップ2強を加えて火にかける。沸騰したらアクを取り、鶏ガラスープの素を加えてひと混ぜし、ゆでたはと麦を加えて10分間煮る。
⑥ ⑤の鍋にチンゲンサイの軸を加えて数分煮てから、葉を加え、ひと混ぜする。
⑦塩としょうゆを加えて味を調え、火を止める。器によそって出来上がり!
古川先生による「薬膳食材」講座
今回、レシピ監修をされた古川先生に、寒さに効く!胃腸をいたわる食材を教えてもらいました。
冬に採り入れたい、代表的な胃の養生の食材には、以下のようなものがあります。もちろん今回紹介したレシピに全て入ってますよ!
鶏肉(手羽先)
鶏肉は胃腸を温め、気を養う食材で虚弱タイプの人におすすめ食材です。特に「手羽先」 は良質なたんぱく質(コラーゲン)が豊富で、更に「ビタミンA」も多く含まれるため、冬場の肌荒れや乾燥肌の予防にもなります。
チンゲン菜
中国野菜の代名詞「チンゲン菜」はやや寒性の食材なので、生姜や大蒜と一緒に調理する のがお勧めです。ビタミンやミネラルが豊富で、血管の弾力性を上げ、がんの予防野菜として中国では大量に摂取されています。特にビタミンCやβカロテンが豊富なので、抗酸化作用も期待できます。
はと麦
はと麦は漢方薬でも使われ「ヨクイニン」と呼ばれています。清熱解毒作用がありウィル ス性の水いぼに効果があります。また、整腸作用があるので、慢性の下痢の人は積極的に 摂取してほしい食材。精米に比べて蛋白質量が約2倍、食物繊維も約8倍近くあるので 「腸活」をする人にもとても良い食材です。
生姜
特に上海のように温度差が激しい冬場は、多く摂取してほしい食材です。身体が冷えてい る時には、生姜は3分以上は煮ないようにして食しましょう。辛みがあるぐらいのほうが 寒さを身体から出してくれます。また、妊娠中の悪阻(つわり)には、非常に優れた効果 がある食材です。
役立つ!養生まめ知識を紹介
中国に昔から伝わる養生まめ知識 その1
「冬はこうして養生しよう」
中国には「以静養生」という言葉があります。冬は静かに過ごして養生するという意味で す。激しい運動や疲労を避けて、やがて来る春のためにエネルギーを養うことが大切とい う考え方で、他の季節よりも早く寝て遅めに起き、十分な睡眠時間を確保することが好ま しいとされています。
また起床後、うがいをして、体温よりやや熱い「白湯」を飲みましょう!
それから窓際で、太陽を浴びます。朝方の日ざしは1日で「陽の気」が強いと考えら れています。朝一番で太陽を浴びると、冷え症の改善のほか、体内時計やホルモン、精神 状態などの調整も助けてくれると言われています。
漢方では昔から、朝は胃を調整する時間だと考えられています。調整を進める条件は胃を 冷やさないこと。朝は冷たいものをとらないようにしましょう。
中国に昔から伝わる養生まめ知識その2
「風邪やインフルエンザに打ち勝つ養生法」
空気が乾燥すると、風邪に加えてインフルエンザも流行します。十分睡眠をとり、栄養の バランスに気をつけることはもちろんですが、こまめな水分補給も大切です。口やのどに 付着した菌やウイルスを、胃酸で殺菌するのです。中国のおばあちゃんは、子供に 30 分ごとに水分をとるように教えています。特にお茶は殺菌作用もあるので、外出先から帰 宅したら手を洗い、菊の花のお茶でうがいをするように教えます。
昔、北京の小学校では、クラスメートが1人でも風邪をひくと、翌日はクラス全員に菊の 花のお茶を水筒に入れて持参するよう、先生から通達があり、登校時にまずそれでうがい をし、お湯を水筒に足して、下校時まで飲んでいたと言います。
中国の人は風邪気味だと感じたときは、ドクダミ茶と菊の花茶を一緒に煎じて、どんどん 飲みます。頻繁にトイレにもいき、早め早めに解毒することで、本格的な風邪になる前に 回復することが多いようです。あわせて、免疫力を高めるビタミン C をたくんさ摂取す るために 2、3 時間ごとにくだものを食べるか、果汁 100%のジュースを飲むようにし ています。
このように、中国の人が風邪の予防として実践している養生法は、今の生活でも活用でき ると思いますので、皆さんもやってみてくださいね。
今回、レシピ監修をされた古川先生は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで受けられます。土曜日でも診察が可能ですので、少しでも身体に不調のある 方、風邪やインフルエンザ予防をしたい方は、西洋治療や薬膳にも詳しい古川先生に一度 相談してみてください。
お問い合わせをお待ちしています。
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2021年01月18日