中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
ちゃんと眠れてる?漢方で「ストレスと睡眠の質」を改善
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「鍼」治療と睡眠コントロール
一般的に「鍼」は、肩こり腰痛などの痛みの治療方法だと思われていますが、ス トレスが原因による「不眠症」「気分変動症」「月経前症候群」などの症状の治 療にも、鍼治療は効果があります。鍼治療で経絡をコントロールし、五臓六腑の 機能が健康になると、症状の改善につながります。また、鍼治療は脳内ホルモン の調節効果もあり、身体の緊張を緩和し「睡眠の質」をたかめる治療にも有効的 です。
漢方治療法
漢方では西洋のように、睡眠薬など対処療法ではなく、体質を改善することでストレスの軽減や、睡眠の質を上げ、生活や仕事のパフォーマンスが上がるように整えていきます!
ポイント①陰陽のバランスを整える
夜(陰の時)は眠くなり、朝(陽の時)は意識がはっき りとします。このように体内の「陽気・陰血」のバラン スが調っていれば、自然と睡眠の質が上がるので、まずは、この陰陽のバランスを正常に戻すように漢方を処方します。
ポイント②心を穏やかにする
栄養状態の悪い「心血虚」のタイプは不満や不安の感 情が現れやすく心が落ち着きません。また手足が熱る 血の気が多い「心火」のタイプはイライラして、眠れ ず「睡眠の質」低下につながってくるので、「心」を 安定させ穏やかにする漢方を処方します。
ポイント③肝の状態を整える
イライラしやすい、疲れやすい、歯ぎしりをするなどの 症状の方は、「肝」の能力が低下する「肝血虚」タイ プ。このような体質の方は「睡眠の質」に影響してしまうので、その場合は「肝」の血を補う漢方を処方します。
ポイント④脾を調え「血」を養う
脾は消化吸収をつかさどる働きがあるので、食生活が 乱れ、脾臓が弱り始めると栄養が吸収されず「血虚」 の状態になります。このような体質の方も「睡眠の 質」の低下につながるので、胃腸を整え、血を補う漢 方を処方します。
ー実際の治療例ー
古川先生による治療例を紹介します。
【対象者】
上海で働くKさん
56歳 男性
【症状】
朝の寝起きが悪く疲れがとれない日々が続いていて、日中の倦怠感もあり、仕事の気力が以前より低下していると感じるようになっていました。
また、コロナ禍の影響で、先行きも悪く不安な感情が多くなり、元気が出ないため当院を受診。
【中医学的診察】
①問診
患者は鼻声で、慢性鼻炎の症状があるとの事。特に、起床時に鼻が詰まりやすく、 起きてから時間が経つと鼻水が出だし鼻通りがよくなるようでした。飲酒後は、上記の症状が顕著に現れ、さらに軟便やお腹の張りも出てきます。また、睡眠中は身体が熱りやすく、やや寝汗もあり、喉の渇きをいつも感じるようでした。
②舌診
舌の質は厚く、舌先は赤く鮮やかで、苔は淡黄色になっていて濁っている状態。
③脈診
滑るような脈で、右の脈が若干弱い。
【医師の診察】
コロナ禍で見通しが悪く悩むことが多いため「心気」が消耗された状態だと考え られました。特に、飲酒後の胃腸の働きが悪く、慢性的に「脾虚肝鬱」タイプと 考えられ、消化吸収の滞りが診られ、精神意識も不安定な状態にあると判断。
また、日中の疲労倦怠感、早朝の鼻詰り、睡眠の質の低下などの症状は、「睡眠 時無呼吸症」の可能性もあるので併せて治療を開始しました。
【治療方法】
漢方治療を行います。まずは、胃腸の働きを調える半夏厚朴湯に、睡眠を促進する生薬を合わせて処方。
【途中経過】
漢方薬を1週間服用後、軟便がなくなり、胃腸の働きは改善されてきました。ま た、舌の濁りも軽減しています。しかし、会社でトラブルが発生し、忙しさのためイライラして怒る機会が多く、疲労倦怠が増してきていました。「怒り」は 「肝の火」に関係するため、柴胡、黄笒などの肝気を調和する生薬を加味しました。
漢方薬を3週間服用後、舌の濁りは更に改善が診られ、怒る機会も軽減されてきました。しかし、いまだ考え悩むことが多く、不安になることがあるため、血を養い安心効果のある生薬を加味して観察することにしました。
漢方薬を6週間服用後、情緒が安定するようになり、イライラや不安感は軽減されているとの事。また、お腹の張りもなくなってきました。ただ、いまだ日中の倦怠感、早朝の鼻詰まりが診られるため、「心気」を養う薬用人参、鼻詰まりを 改善する生薬を加味しさらに経過観察しました。
漢方薬を2ヵ月間服用後、早朝の鼻詰まりが軽減され「睡眠の質」が改善されて います。また、日中の疲労倦怠感が減り、以前より仕事に集中できるようになったとの事。さらに鼻詰まりを軽減させる「収斂散結」の生薬を加味し、他、1カ月分の生薬を処方し治療終了となりました。
【医師からの一言】
★保険についてのご質問や、治療期間はどのくらいかかるの?漢方薬は苦いの?
など、なんでもご質問ください!
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- 2021年06月28日
尋常じゃない「汗っかき」「寝汗」… 夏本番が来るまでに改善しよう!
「普段からそう暑いわけでもないのにとにかく体から汗が噴き出てしまって困る」
「スマホが水没してしまうのではないかというくらい手汗が止まらない」
「寝汗で朝起きると布団がぐっしょり」
…そんな汗っかきさんにはつらい夏本番が、これからやってきます。
今年の夏を快適に過ごすためにも、この汗っかき、寝汗を改善したいものです。今日は、そんな汗かき(多汗症)や寝汗を、漢方ではどのように治療しているかをご紹介 します。
汗はどうして出るの?
外気の気温上昇や運動をしたときに体温が上がり、体温調節を担っている脳の視床下部で、「体温上昇」の情報をキャッチすると、脳は汗腺に「発汗」命令を出します。
このように「汗」には、体内の熱を皮膚から蒸発させ体温コントロールをしていく重 要な役割がありますが、その他にも、緊張したときに出る汗「精神性発汗」、辛い物 を食べたときに出る汗「味覚性発汗」もあります。一般的には、発汗の引きがねにな る刺激が減り、自然に汗が止まれば正常な状態と考えられます。
では、どうして汗がとまらないの?
中医学的に考えてみましょう。中医学では「汗証」という病名があり、「自汗」と「盗汗(寝汗)」に分けています。
「自汗」とは。特に要因が無い状態でも昼、夜問わず汗が出る状態で、特に身体を動かしている時に激しくなるのが特徴です。
また「盗汗」とは、いわゆる寝汗のことです。言葉のとおり睡眠時に汗をかきます。 しかし目が覚めると汗が止まるのが特徴です。
つまり、尋常ではない「汗かき」は、中医学では「病気」としてとらえ早めに治療す べき状態なのです。特に「寝汗」は西洋の医学の膠原病、甲状腺機能亢進症、糖尿病、結核感染症などの症状として診られることがあるため留意していかなければなりませ ん。
汗が止まらない原因は?
汗は中医学では心臓と関係しているとされています。
中医学の医学古文書《黄帝内経》の中に「五臓化液、心為汗」という文献があり、直 訳すると「五臓が液に変化する、心の液は汗となす」となり、心臓に負担がある場合、 汗として身体から水分を出すことにより体温や心臓の負担を調節しているのだということです。つまり、尋常ではない汗かきの人は「心臓の機能に負担がかかりすぎてい る」ことが原因で汗を多くかくようになるようです。
例えば、急激に太ってしまった方は、身体は大きくなるのに、心臓は握りこぶし1つ分の大きさのままなので、身体全体を動かす血液の供給をする心臓に負担がかかり、 汗を多くかくようになります。
「汗かき(多汗症)」の治療法
中医学では以下の2つの方法を同時に行い、漢方で治療してきます。
★心臓の負担を減らす
・血の流れを良くする「活血」の漢方で、汗を減らしていく
・漢方で感情のコントロールを助け、感情の起伏を穏やかにする
・体重のコントロールを指導し、心臓の負担と汗を減らしていく
★心臓の機能を回復する
・漢方で睡眠の質をコントロールし、心臓を休ませる
・「黄耆」「霊芝」「苦参」などの漢方の組み合わせで、心臓に栄養を与え心臓の機 能の回復をはかる
・夜の飲酒量や食事量を減らし、心臓を休ませてもらうように指導する
寝汗の原因は?
男性に多い「ストレス」によるホルモンの変動、女性に多い「月経前症候群」や「更 年期障害」等のホルモンの変動によって、身体の調節機能が限界を超えると、交感神 経と副交感神経の切り替わり機能がうまくいかなくなり「寝汗」をかくことが多くな ります。
また、慢性の炎症や栄養ミネラル不足により、五臓や特に「心臓」に栄養がいきわた らず「寝汗」をかくことになります。
両者共に、慢性的に身体が消耗してしまう状態のため、持病の方は病気が進行してしまい、未病の方はこれから何らかの病気を発症しまう可能性もあります。
「寝汗」の治療法
中医学では「寝汗」を病理的な機能障害と考え、血虚、陰虚の2タイプに分類し漢方 で治療してきます。
①心血不足(血虚タイプ)
悩みごとが多い人によくあるタイプです。悩みが多いと「心血」の消耗が激しくなり、 また胃腸の働きにも悪影響がでてくるため、消化吸収もうまくいかなくなり「血虚」 栄養不足状態になるのが原因です。
②陰虚内熱(陰虚タイプ)
毎晩晩酌をされる方、夜寝るのが遅い方、辛い物が好きな方に多いタイプ。常に身体 に熱が溜まっている状態なので、身体を冷やし潤す「陰精」が消耗していることが原 因です。
ドクターからの一言
「寝汗」をかく人は、慢性的な「睡眠の質の低下」が診られます。夜しっかり眠れて いないと、仕事の質や効率に影響が出ることがあるので、30~50 代の多忙な男性は、 とくに「寝汗」の原因を究明し積極的にコントロールしていきましょう。
また「多汗症」や「寝汗」は病気になる前の、なんらかの身体の機能障害が出ている サインです。なので、早めに漢方で治療されることをお勧めします。治療をすれば、 根本的に体質も健康体に改善していくので、単なる「汗かき」と思わず、まずは相談 してみてください。きっとこの夏は楽になるはずです。
今回ご紹介した「汗っかき・寝汗の改善」は当院の古川先生が実施しています。 古川先生の診察は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで受けられま す。
土曜日でも診察が可能ですので、多汗症や寝汗でお悩みの方は、西洋治療や薬膳にも 詳しい古川先生に一度相談してみてください。
お問い合わせをお待ちしています。
★保険についてのご質問や、治療時間はどのくらいかかるの?どの先生に診て もらえればいい?など、なんでもご質問ください!
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- 2021年06月21日
「むくみ」を改善する!6月の薬膳料理
中国4千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理」シリーズ!
6月の今回の薬膳料理レシピは、この季節に特に多い「むくみ」を改善する!がテーマです。
梅雨の時期はからだの中に余計な水分が!?
梅雨から初夏にかけて外気も湿気が多くなると、からだの中にも余計な水分がたまり、むくみ が出やすくなります。漢方の世界では、この余計な水分は「湿(しつ)」が原因とされ、関連 がある臓器は「脾(ひ)」=消化器全般といわれています。
そのため、6月まっただ中のこの季節は「脾」をいたわってからだの巡りをよくし、「湿」を からだの外に追い出す習慣をつけましょう。それには、「脾」の機能を高める「健脾(けん ぴ)」、「湿」を排出してくれる「利水(りすい)」の食べ物を取り入れることが大切です。
むくみを取る薬膳料理で梅雨から初夏を乗り切ろう!
「薬膳」と聞くと、とてもハードルが高いイメージがありますが、季節や体質・体調を考 慮して、普段からの食材の特性や組み合わせ流ことも、立派な「薬膳」料理です。
難しい材料を使わず、普段の食材の組み合わせを工夫するだけで、いつもの食材が「薬膳」に!
さあ、「利水の食材」を使って「むくみ」対策をしましょう!
①むくみを抑える「薬膳茶」レシピ
「あずき茶」
調理時間: 15分
材料 2~3 人前
乾燥あずき……50g
水……500cc
【作り方】
1. あずきは水洗いして、ざるにあげて水気を切っておきます。
2. 1.のあずきを鍋に入れ、弱火から中火で約 10 分くらい乾煎りします。
(目安はあずきの色が黒く変わるまで)
3. あずきの色が黒くなったら、水を 500cc 加えます。その後 5~6 分中火で煮出 したら出来上がり!
②むくみを抑える「薬膳スープ」レシピ
「冬瓜と山芋のスープ」
調理時間: 15分
材料 2人前
山芋……100g 冬瓜……100g
干しエビ……大さじ1
鶏がらスープの素……大さじ1
塩、コショウ……適量
水……400cc
【作り方】
1. 冬瓜、山芋は、それぞれ皮をむき千切りにします。
2. 鍋に冬瓜、干しエビ、水、鶏がらスープの素を入れて中火で煮込みます。
3. 冬瓜が透き通ってきたら山芋を加え、さっと煮込んで、仕上げに塩、コショウで 味を整えたら出来上がり!
古川先生による「むくみ改善」のための薬膳食材講座
今回、レシピ監修をされた古川先生に、むくみを改善する食材を教えてもらいました。
「脾」をいたわる「健脾」の食材
山芋
「山芋」は、漢方処方でよく使用される六味黄丸の生薬のひとつです。喉の渇きを抑 え、多尿を緩和する作用があるため、血糖値が気になる人にお勧めの食材になります。また、 「腎と脾」を健康にする作用があるので、食が細く元気のない人は、積極的に摂取してほしい 食材です。
とうもろこし(とうもろこしのヒゲ)
トウモロコシの実は、黄色の食材なので、漢方薬膳的には、胃腸を養う「健脾」の効果がある と考えられています。また、トウモロコシの髭は利尿作用があり、腎臓結石や高血圧の予防に お勧めの食材です。また、胆嚢の働きを助け胆汁排泄を促すため、油濃い食べ物で胃の膨満感 がある人に良いでしょう。
「湿」を排出する「利水」の食材
あずき
あずきの大きな効果効能は、利尿作用なので「むくみ」の改善にはとてもよい食材で す。身体がむくみやすい夏に「水ようかん」を食べるのは、体内に溜まりやすい水の巡り をよくするので、よい夏の和菓子といえますね。またあずきは、ほかにも解毒作用やかゆ みを和らげる効果があるので、湿気が多い季節に皮膚の赤みやかゆみが出る人にも、積極 的に食してもらいたい食材です。
冬瓜
冬瓜は 95%が水分で利尿作用があるので、むくみの解消や高血圧に効果的な食材です。また、涼性から寒性の食品とされているので、身体の熱をとり冷やす作用があります。む くみ以外にも、夏バテ防止、疲労回復や、あせも予防の効能が期待され、カリウムも多く 含むので、夜足がつりやすい人にも効果的な食材と言えるでしょう。
上記の食材の一部は、今回紹介した「あずき茶」と「冬瓜と山芋のスープ」にも入ってい るので、是非、作ってみてくださいね!
ドクターからの一言
「健脾」の食材は、ふだんから意識して取り入れると、むくみやだるさの予防になり ます。むくみが出てしまったときには、「利水」の食材を積極的にとるのがおすすめ。またこ の時期は「脾」を傷つけ「湿」を増やしてしまうので、「冷たいもの、生もの」は控えるとよ いでしょう。
今回、レシピ監修をされた古川先生の診察は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜20:00まで受けられます。
土曜日でも診察が可能ですので、梅雨時のむくみや体調不良でお悩みの方は、西洋治療や 薬膳にも詳しい古川先生に一度相談してみてください。 お問い合わせをお待ちしています。
- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2021年06月15日
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