〜「胃痛」の漢方治療・養生法〜

波のように襲ってくる胃痛、ずっとシクシク痛む胃痛など、胃の痛みは人それぞれです。 西洋医学では胃痛の原因は、ただれや潰瘍による痛み、食べ過ぎによる痛み、胃の粘膜が胃酸により刺激されて起きる痛み、胃の筋肉のけいれんによる痛みなどがあると考えられています。

中医学では、胃痛の原因を西洋医学とは違った方向から分類して治療をしていきます。

日本人は他の人種に比べて胃腸の働きが弱く、トラブルが起きやすい傾向にあります。 胃の痛みがある方は、痛みを抑えるだけではなく、中医学の治療で根本的な原因の対策と体質改善をお勧めします。

 

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【胃痛の主なタイプ(中医学)】

 

①冷えると痛む胃痛

 

②ストレスによる胃痛

 

③元気がなくシクシク痛む胃痛

 

④夜に悪化する、刺すような胃痛

 

※胃痛にはいくつかの要因が絡み合っていることもあります。  

 診察では、それぞれの程度を把握して治療を進めていきます。

 

 

 

【不妊症の分類別治療法】

 

① 冷えると痛む胃痛

 

特徴:冷たいものを食べたり飲んだりすると痛みが出たり、寒い日に痛みが悪化した

   りするタイプです。温めると痛みが和らぐのが特徴です。 冷えにより血流も悪

   化するので、胃の機能自体も悪くなりがちです。

 

治療:身体と胃腸を温める+胃腸の働きを整える

 

養生:×生野菜、アイスクリーム、冷たいビールなど

   〇生姜、シナモンなど:胃を温める働きがあります

 

 

②ストレスによる胃痛

 

特徴:胃の痛みだけではなく、緊張をするとゲップが出たり、お腹が張って苦しくな

   ったりすることもあります。場合によっては口臭がしたり、口が苦く感じるこ

   ともあります。

 

治療:気持ちをリラックスさせる+胃腸の働きを良くする

 

養生:×肉、大豆製品など:食べ過ぎると胃が張りやすくなります    

   〇柑橘類、紫蘇、ミントなど:胃の「気」の巡りを改善し、

   胃をすっきりさせる働きがあります

 

 

③  元気がなくシクシク痛む胃痛

 

特徴:胃腸の働きが悪いことにより起きる胃痛です。中医学では、エネルギーや身体

   を動かす力などを「気」と呼びます。「気」は主に胃腸が食べ物の栄養分を吸

   収することにより補給されるので、胃腸の働きが悪いと「気」が少なくなりま

   す。「気」は身体が元気に活動したり、内臓や免疫機能などが正常に動いたり

   するために必要なものなので、減ると元気がなくなったり、内臓が正常に機能

   せず、痛みが出たりすることがあります。

   このタイプの痛みは、あまり激しくなく、シクシクと痛むのが特徴です。

 

治療:「気」を補う+胃を温める+消化吸収を助ける

 

養生:×甘いもの、辛いものなど:消化不良を起こしやすい食べ物は避けましょう

   〇山芋、お粥、麦芽糖など:胃の粘膜をいたわる食材です

 

 

④夜に悪化する、刺すような胃痛

 

特徴:主に血流が悪いことにより起きる胃痛です。いつも同じ場所がキリキリと痛む

   のが特徴です。夜寝ている時は身体の血流が悪くなりやすいので、痛みも悪化

   する傾向にあります。日中では食事の前よりも後の方が痛くなりやすいです。

   また、冷えによっても血流は悪化しやすくなるので、冷たい飲食物を食べた後

   に痛みが悪化することもあります。

 

治療:血行を良くする+胃の働きを調節する

 

養生:×辛いもの、肉、冷たいもの:刺激のあるもの、消化しにくいものは避けま

   しょう。

   〇ウコン、ゴボウなど:血流を良くし、肝臓や膵臓の働きを助けます。

 

 

 

【胃痛の治療が得意な老中医の診察室】

 

王正中先生

 

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Wさんは上海に来て一年の女性です。上海での生活にも慣れ、時間にも余裕が出てきた頃から甘いものを食べることが多くなり、半年前から疲労感があり、家の中にいることも増え、一年で体重が5kg増加しました。

 

ある夜、寝ている時に胸がムカムカし、翌朝口が酸っぱく胃酸が逆流する感じがして西洋のクリニックを受診し、飲み薬をもらいました。症状は少し改善したものの、気分が悪く、胃に違和感があり、食欲がなく、気持ちも不安定で睡眠状態も良くないため、当クリニックを受診されました。

 

診察の結果、Wさんは甘いものの食べ過ぎにより胃腸の働きが弱くなり、胃の筋肉が緩んだことにより胃酸が逆流し、また、身体に血液やエネルギーが回らなくなったため、気持ちが不安定になり、睡眠の質が悪くなったと王先生は考えました。

 

王先生は、最初胃の筋肉の緩みを改善するために苦みのある生薬を処方しました。Wさんは苦い薬を一生懸命飲み、二週間後には胃の違和感も睡眠状態も改善しました。

 

しかし、気分の浮き沈みがあるため、漢方薬の服用と共に生活の改善をアドバイスしました。

 

間食にはおにぎりやスティック野菜を食べること、食後に散歩をすること、一週間に二回は運動をすること、甘いものを70%減らすこと。

 

先生のアドバイスを実践したところ、運動をすると睡眠が深く、気持ちも安定することが分かってきました。生活にリズムが生まれ、暴飲暴食も改善されてきています。

 


 

 

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「不妊症」の漢方治療・養生法

 

「長引く咳」の漢方治療・養生法

 

〜「不妊症」の漢方治療・養生法〜

子供が欲しいけれどもなかなかできない、という夫婦は昔に比べて増えてきています。

生理周期が乱れている方、生理痛のある方、冷え症、疲れやすい方、ストレスのある方は要注意!

西洋の検査では何も問題がないという方でも、中医学の観点から見ると問題を抱えている、という方は少なくありません。

また、不妊症の原因の約半数は男性側にもあるという統計結果があります。

上海駐在の男性は仕事が忙しく、疲れが溜まっている方も多く見られます。

 

ご夫婦で一度中医学の観点から体調をチェックしてみてはいかがでしょうか?

 

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【不妊症の原因となる主な要因(中医学)】

 

・血流が悪い【血瘀】

 

・エネルギーや血液が少ない【気虚、血虚】

 

・生殖器系の働きが弱い【腎虚】

 

・「気」の巡りが悪い【気滞】

 

・老廃物の排泄が滞っている【痰湿】

 

※不妊症の原因は単純ではなく、いくつかの要因が絡み合っていることが多いです。

 診察では、それぞれの程度を把握して治療を進めていきます。

 

 

 

【不妊症の分類別治療法】

 

【血瘀】(けつお)血流が悪い

 

特徴:ホルモンや栄養、酸素などは主に血液によって子宮や卵巣に与えられます。

   血流が悪いとこれらがしっかりと与えられず、いらない老廃物等の回収も

   スムーズにいきません。 また、血流が悪いと月経の際に子宮の内膜がスム

   ーズに排泄されにくく、生理痛が起きやすくなります。生理の血に塊が混

   じることもあります。また、肩こりや腰痛など身体のあちこちの痛みも起

   きやすくなります。

 

治療:血流を改善する+血流を悪化させている原因を改善する 血流が悪くなる原

   因は、冷えやストレス、血液を動かすエネルギーが足りないなど様々です。

   原因に応じて生薬を組み合わせて治療をします。

 

養生:×冷え、ストレス、睡眠不足

   〇温める、運動、黒きくらげ、玄米、タマネギなど

 

 

【気虚、血虚】エネルギーや血液が足りない

 

特徴:エネルギーが足りない場合は、疲れやすい、生理がすっきり終わらずダラダ

   ラと少量の出血が続くなどの症状が起きやすくなります。 血液が足りない場

   合は、生理の血が少なくなる、顔色が白っぽくなる、貧血などの症状が起き

   やすくなります。また、子宮や卵巣に行きわたる血液も少なくなるので、機

   能も低下しがちです。

 

治療:エネルギーと血液を作り出すためには、胃腸の吸収力をしっかり高めることも

   必要です。エネルギーや血液を補う+胃腸の吸収力を高める。

 

養生:×疲労、睡眠不足、悩みごと、食事制限などのダイエット、胃に負担のかかる

   食べ物

   〇消化の良い食べ物、イモ類、なつめ、黒米、ほうれん草など

 

 

【腎虚】生殖器系の働きが悪い

 

特徴:排卵までに時間がかかる、生理周期が長いまたは短い、基礎体温が二層になら

   ない、腰から下がだるかったり冷えたりするなどの症状 中医学では生殖器系や

   成長発育、若さなどを司る臓器を「腎」と呼びます。 「腎」が弱るとホルモン

   バランスが崩れやすくなる他、老化の症状が見られやすくなります。 「腎」に

   は身体全体の潤いと関係のある「腎陰」と、身体全体の温かさの元と関係のあ

   る「腎陽」とがあります。どちらが不足しているかによって、生薬を使い分け

   て治療をします。

 

治療:「腎」の働きを補う 

   排卵までに時間がかかる、ほてりや咽喉の渇きがあるなどの場合は「腎陰」

   を補う

   高温期が不安定、下半身の冷えなどがある場合は「腎陽」を補う

 

 

【気滞】「気」の巡りが悪い

 

特徴:ストレスやイライラがあると、「気」の巡りが悪くなります。 中医学で言う

   「気」というのはエネルギーや自律神経の働きの他、臓器の働きや、物を動か

   す力、免疫などとも関係のあるものだと言われています。 「気」の巡りが悪く

   なることにより、ホルモンの伝達や神経伝達などがスムーズにいかなくなると

   、各臓器を始め、生殖器系の働きにも影響が出てきます。基礎体温が安定しな

   かったり、生理の前に胸が張って痛くなりやすくなったりします。

 

治療:「気」の巡りをスムーズにする+影響が出ている臓器の働きの調節「気」の巡

   りが悪くなると、二次的に血流が悪くなったり、いらない水の排泄が滞ったり

   することがあります。症状が出ている場合は血流の改善や水分代謝の改善の治

   療も同時に行います。

 

養生:×ストレス、緊張  

   〇軽い運動、香味野菜、柑橘類など

 

 

【痰湿】老廃物の排泄が滞っている

 

特徴:太っている、むくみがひどい、おりものが多いなど 身体の中にある不要でどろ

   っとした液体状のものを中医学では「痰湿(たんしつ)」と呼びます。 「痰

   湿」は身体のあちこちに溜まり、エネルギーや血液が正常に循環したり活動し

   たりするのを邪魔するので、身体の機能も停滞しやすく、身体も重だるくなり

   がちです。

 

治療:「痰湿」を取り除く+「痰湿」ができる原因を治療する

   「痰湿」は胃腸や呼吸器系の働きが悪かったり、「気」や「血」の循環が悪か

   ったり、冷えたりした際に身体の中に溜まり、排泄が滞ると考えられています

   。原因に応じて治療をします。

 

養生:×脂っこいもの、味の濃いもの、甘いもの

   〇運動、ミカンの皮、冬瓜、春雨など

 

 

【婦人科の老中医の診察室】 

 

劉愛武先生

 

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結婚1年目のAさん、結婚当初から子供を希望されていました。半年前から排卵チェックを始め、タイミングを取っていましたが妊娠に至りませんでした。仕事のストレスもあり、3カ月ほど前から月経周期が乱れ、排卵までの期間が極端に長くなり生理が40日以上来なかったり、高温期がはっきりしない周期が続いたりしたため、まずは生理不順を治したいということで来院されました。

診察の結果、Aさんはもともと体力があまりなく、仕事のストレスが加わったことで生理周期が乱れたと劉先生は判断しました。

女性の場合、生理の周期によってホルモンのバランスが異なります。ホルモンのバランスが乱れている場合、体質に合わせた治療の他に生理の周期に合わせた治療が必要な場合があります。

劉先生は、胃腸の吸収力を高め元気を補う生薬と「気」の巡りを良くする生薬に加えて、生理の周期に合わせて生薬を使い分けて治療をしました。

先生からは疲労を避けリラックスを心がけるようにという指導がありました。

もともと疲れやすく、日中も眠いことが多かったAさんでしたが、漢方を服用し始めてからは疲れにくくなり、日中の眠気も改善してきました。安定しなかった基礎体温もきれいになり、生理周期が整ってきた矢先に妊娠が発覚しました。

 

 


 

 

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