中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
漢方で「過食(食べ過ぎ)」のコントロールができるって本当!?
【私にお任せください】
過食の解決に漢方
「過食」の人は、身体のホメオスタシス(普通の状態に戻ろうとする力)が乱れていることが多いようです。中医学では、一般的に「胃熱」が多い体質の人は 「過食」になりやすいと考えられ、その過食(胃熱)の原因には、睡眠不足、ストレス、たんぱく質やミネラル等の栄養不足、疲労心労、また飲酒やたばこなどがあります。こう言った過食の根本的な原因を漢方薬でコントロールすることで過食を抑え、健康的な食生活に戻していきます。
漢方の「過食」治療
漢方は「過食(食生活)」状態やまた個人の体質を診て、一人一人に合わせて処方!同時に生活習慣のアドバイスも行います。
ポイント①睡眠の質を上げる
しっかり睡眠をとることで身体を「陰」を補い「胃熱」の発生を抑えていきます。睡眠の質を上げる漢方の処方と、しっかり体が休められるように1日の生活指導をしていきます。特に朝、日差しを浴びること、朝食はしっかりと摂ること、が大事です。
ポイント②ストレスを緩和
ストレスがあると「肝火」が胃を襲うため、「胃熱」が上昇し「過食」が増します。ストレスを緩和する「理気」の漢方で心を徐々に穏やかにして いきます。症状が改善するまで、根気よく漢方を 服用していきましょう。
ポイント③必要な栄養素を摂取する
過食の人は食べた後、自分を責めてしまうことが多 いのですが、過食→後悔→食事を摂らない→身体から栄養不足の信号が出て→また過食、と負のスパイ ラルに入ってしまいます。
そのため、毎日の食事は、一日に必要なたんぱく質 量とミネラルの多い野菜を積極的に摂取する必要が あります。まずは、今の食生活を書き出して、理想 的な食生活をドクターと話し合ってみましょう。
ポイント④運動習慣トレーニング
食欲を抑えるためには適度な運動が効果的です。 今まで運動していない人や運動が嫌いな人には、 まずは薬用人参などで体力を回復させ、運動を始 める準備をしていきます。先ずは1日10分歩きましょう。いきなりランニングをしたり、筋トレを始めるより、ストレスのない長続きができる日常生活の運動から始めるのが大事です。
ー実際の治療例ー
過食コントロール
古川先生による治療例を紹介します。
【対象者】
上海で働く38歳の男性 Aさん
【症状】
家族が日本へ帰国しているため、友人と外食する機会が多くなり、毎晩、暴飲暴食をする日々が続いていた。ある日の夜中、空腹で目が覚めインスタントラーメ ンを食べることをきっかけに、食欲がさらに出るようになってしまう。間食も増え体重も増加。近頃は睡眠の質も悪く、飲酒量が多いと寝汗も出てくるようにな った。昼過ぎになると眠気が強くなり、疲労感が激しく、仕事のパフォーマンスも落ちてきたので、心配になり診察を希望されました。飲酒喫煙歴は18年。
【中医学的診断】
①舌診
舌は新鮮な赤色、黄色い苔が厚く覆っている。
②脈診
右側の脈が強い。
【医師の診察】
暴飲暴食により「湿熱」溜まり、更に「胃熱」が強くなり「過食」になると判断。
また、胃腸の疲れから消化不良になりやすく、食べているのにかかわらず身体のエネルギーは減少している「気血両虚」状態で、これがさらに「過食を促進している」要因と判断しました。習慣的な飲酒生活により睡眠の質の低下がみられ、 慢性的に熱型体質で、その上身体の「陰」が消耗している「陰虚体質」に向かい つつある状態。飲酒後に寝汗が出るのはこのためです。
【治療方法】
「胃熱」を取り除く「石膏、黄連」の生薬を使い、ストレス緩和のため「柴胡、 薄荷」、睡眠質の安定のため「陰熱」を調節する「夜交藤、知母」、老廃物の「痰湿」を排泄する「半夏、厚朴」を処方しました。飲酒や辛い物は、胃の刺激 になり「胃熱」が上昇し「過食」になりやすくするため、これらの食事を極力減らすように指導をしました。
更にストレスや悩みを抱えていることも、満腹中枢の反応を鈍らせるため、ストレスを受けた時の気分転換の方法などもお伝えしました。
酒や辛い物は控えめに。ストレスはためないで。
【途中経過】
漢方薬を1週間服用後、睡眠の質が良くなり寝汗をかかなくなる。舌は未だ赤く、やや紫色に診える。未だお腹がすきやすく、咽喉が渇き便通が悪くお腹の張りも診られる。前回の処方に便を出やすくする「大黄、枳実」を加味しました。
漢方薬を2週間服用後、便が出やすくなりお腹の張りが軽減。舌先は赤いが、舌の苔は明らかに薄くなる。舌の根本の苔はまだ汚れている状態。食物繊維の摂取 量を増やす食事指導を開始する。便通が改善されたため「大黄」を減らし、「瓜 楼仁」を加え経過観察します。
漢方薬を4週間服用後、自覚的にも「過食」に軽減が診られる。舌先の赤みは軽 減され、苔も更に薄くなってきた。しかしまだ舌色が暗く血流が悪いため、前回の処方に肝を養い血流を良くする「当帰、丹参、郁金」、を加味しさらに経過観 察します。
漢方薬を6週間服用後、自分で食材を考えながら摂取するように自主的に食事改 善を実施。過食も落ちついたため、体重の増加もなくなってきました。睡眠の質は安定してきたため、仕事のパフォーマンスは上がってきたとの事。喫煙歴があ るため「清熱解毒」
(漢方イメージ)
【医師からの一言】
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- 中医学の知ってて得する(Wechat配信)記事
- 2021年03月01日