老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜

〜「むくみ」の漢方治療・養生法〜

上海は日本に比べて湿気が強く、ジメジメ、ムシムシする日が続きがちです。

湿度が高いと身体の中にもいらない水が溜まりやすくなり、体調を崩しやすく、身体も重だるく、気分も晴れないことが多くなります。

日本人は他の人種に比べて湿度の影響を受けやすいと言われています。

西洋医学ではむくみには主に利尿剤を使いますが、中医学では原因ごとに治療方法が異なります。

 

※むくみの陰に病気が隠れていることもあります。症状が長く続いている方や程度のひどい方は中医師にご相談ください

 

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【むくみの主なタイプ(中医学)】

 

① 下半身がむくみやすく、身体のだるさを感じ、胃腸の調子が悪い

 

② 顔がむくみやすく、寒気・発熱・咳などがある

 

③ 下半身から全身がむくみやすく、足腰のだるさがあり、冷えがある

 

④ 疲れるとむくみが起きやすく、元気がない、顔色が悪い、ふらつくなどがある

 

 

 

【むくみの分類別治療法】

 

① 半身がむくみやすく、身体のだるさを感じ、胃腸の調子が悪い

 

特徴:主に胃腸の働きが悪くなることにより、水の調節ができずに起きるタイプのむ

   くみです。

 

   中医学では胃腸が水の吸収と調節は胃腸がしていると考えています。胃腸の調

   子が悪くなったり、胃腸に負担をかけるような食生活をすると、身体の中の水

   分の吸収と排泄のバランスが崩れ、むくみや下痢、だるさなどが起きやすくな

   ります。

 

 

治療:胃腸の調子を整える+水の分配を正常に戻す

養生:×甘いもの、脂っこいもの、冷たいもの

   トウモロコシのひげ、ヘチマ、粟(アワ)のお粥など

 

 

 

② 顔がむくみやすく、寒気・発熱・咳などがある

 

特徴:主に呼吸器系の働きが悪くなることにより、水分を体中に行きわたらせ、排泄

   させることができずに起きるむくみです。

 

   中医学では「肺」が身体の水の散布と毛穴からの発散をしていると考えていま

   す。風邪や冷えなどにより「肺」の働きが悪くなると、特に顔を中心にむくみ

   が起きやすくなります。

 

治療:肺の機能を整える+いらない水を発散させる

養生:×薄着、風邪が悪化するような生活など

   タマネギ、里芋、小豆など

 

 

 

③ 下半身から全身がむくみやすく、足腰のだるさがあり、

 
  冷えがある

 

特徴:主に「腎」の働きが悪くなることにより起きるむくみです。

 

   中医学では「腎」は膀胱と関係があり、水を排泄する他、足腰の強さを保った

   り、身体の温かさを生み出す源でもある臓器だと考えています。

 

   「腎」の働きが悪くなると、下半身からむくみが出始め、ひどくなると全身が

   むくみます。足腰がだるく、冷えるのが特徴です。

 

 

治療:「腎」を温める+いらない水を排泄させる

養生: ×冷え、過労など

   クルミ、ラム肉、シナモン、など

 

 

 

④ 疲れるとむくみが起きやすく、元気がない、顔色が悪い、

  ふらつくなどがある

 

特徴:主にエネルギー不足と血液不足により起きるむくみです。

 

   むくみの程度はひどくはなく、疲れるとむくんでくることが多く、元気がな

   い、息切れがするなどのエネルギー不足の症状と、顔色が悪い、ふらつくな

   どの血液不足の症状があります。

 

   身体の水はエネルギー血液が十分にあることで正常に動き、不要な水を回収し

   て排泄することができます。疲労や睡眠不足などで血液やエネルギーを消耗し

   てしまったり、胃腸の調子が悪く、血液やエネルギーを作り出せなかったりす

   る場合に起きやすくなります。

 

 

治療:「気」と「血」を補う

養生:×疲労、睡眠不足、悩みすぎ

   山芋、ナツメ、よく煮込んだスープなど

 

 

 

 

【むくみの治療が得意な老中医の診察室】

 

施紅 先生

 

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上海で働くAさんデスクワークが多く、冬やエアコンの効いた室内だとすぐに手足が冷えて、足がパンパンにむくむのが悩みで当クリニックを受診しました。

施先生は診察の際に症状を詳しく話を聞き、舌の状態を見て、手首の脈を触り、胃腸の調子は悪くないか、元気はあるかと質問をしました。

 

するとAさんは少し驚き、胃が痛くて食欲もなく、元気が出ない日が多いと答えました。

施先生は、Aさんは胃腸の調子が悪いことにより、身体の必要な水と不要な水をうまく調節することができない上に、栄養分の吸収もうまくできず、身体の中の水を動かすためのエネルギーと血液を作り出せないことによりむくみが起きていると考えました。さらに、エネルギーや血液が少ないことにより、血流も悪くて冷え、その冷えもさらにむくみを悪化させていると考えました。

 

施先生は、Aさんの胃腸の状態を改善させるために、主に胃腸の働きを整えいらない水を排泄させる生薬をメインに、身体を温める生薬と、血流を改善する生薬を補佐的に組み合わせて処方をしました。

そして、Aさんには軽い運動を毎日し、足湯をするか湯船に浸かるように、ストレスを溜めないように気を付け、胃に刺激となる辛いものや冷たいもの甘いものは控えるようにとアドバイスをしました。

 

Aさんは施先生のアドバイスに従いながら漢方薬を飲み続けたところ、胃の調子が良くなり、食欲も増し、手足が温かくなり、むくみが気にならなくなりました。

 


 

 

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