老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
~生活習慣病の予防・養生法~
高血圧、高脂血症、高血糖などの生活習慣病は食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与すると言われています。
実は、生活習慣病のような症状は昔からあり、中医学でも長い間予防や治療をしてきています。中医学では体質や生活習慣を改善することで症状を緩和し、再発をしないような方法を取っています。
健康診断で要注意だった方や生活習慣が気になる方は、ご自分がどのタイプに当てはまるかぜひチェックしてみてください。
【生活習慣病になりやすい方の主なタイプ(中医学)】
① ストレスが多い、または喫煙する習慣がある
② イライラ、のぼせ、耳鳴りなどが起きることが多い
③ 甘いもの、脂っこいものを食べたり飲酒をする機会が多く、運動
をしない
※この他にも生活習慣病を起こしやすい体質や生活習慣があります。体調の気になる
方は中医師にご相談ください。
【生活習慣病のタイプ別予防法(中医学)】
① ストレスが多い、または喫煙する習慣がある
特徴:このタイプの方は血管が硬くなりやすく、血流が滞りやすいので、心筋梗塞・
脳梗塞・高血圧が起きやすくなります。
治療:漢方治療 緊張を緩和する処方+血管を柔らかく、血流を改善する処方
養生:×タバコ、肉、スナック菓子、冷凍食品など
〇イワシ、納豆、キウイなど
② イライラ、のぼせ、耳鳴りなどが起きることが多い
特徴:血圧が高くなりやすいタイプです。頭に急激に血や熱が上り、耳鳴りや眩暈が
したり、興奮が落ち着かず不眠を伴ったり、ひどい場合は脳内出血を起こすこ
ともあります。
治療:イライラや興奮を緩和する処方
+身体の中の余分な熱を冷ます処方
+血や熱が急に頭に上りすぎないようにする処方
養生:×ストレス、睡眠不足、辛い食べ物、酒など
〇菊の花のお茶、セロリ、苦瓜など
③ 甘いもの、脂っこいものを食べたり飲酒をする機会が多く、運動
をしない
特徴:代謝異常が起きやすく、身体の中に老廃物が溜まりやすく、排泄しにくくなる
のが特徴です。高脂血症、高血糖、肥満などが起きやすくなります。
治療:運動療法+食事、睡眠の調節+身体の中の老廃物を排泄する処方
養生:×ケーキ、ラーメン、甘い果物、お酒など
〇銀杏、苦瓜、山芋など
【生活習慣病の予防が得意な老中医の診察室】
黄健理 先生
Aさんは上海で働く40代の男性です。仕事のストレスが多く、毎日飲酒(焼酎を300ml以上)しないと眠れず、暴飲暴食により半年で体重が6kg増えました。会社での仕事効率も悪く、同僚や家族と感情的に争うことが多くなり、最近は疲れやすくだるさもあるのでクリニックを受診しました。
初診時、Aさんは疲労とイライラが浮かんだ表情をしており、血色が悪い暗い顔色をしていました。舌を見せてもらうと、暗い紫色の舌をしており、舌の表面には汚れた苔が厚くついていました。
診察の結果、Aさんは過度のストレスと緊張により、血流の悪化と集中力の低下が起きており、また暴飲暴食により身体の中に老廃物が溜まり、さらに血流が悪くなっていると黄先生は判断しました。血流が悪くなると顔色や舌の色が暗い紫色になります。
Aさんには緊張の緩和と睡眠を促進する生薬と、血行を改善する生薬を組み合わせた処方の漢方薬を飲んでもらうことにしました。また、飲酒量を制限し、晩御飯の量を減らして朝食の量を増やしてもらい、よく眠れるように日中の活動量を増やすように提案しました。
Aさんは飲酒の量を焼酎100mlに減らし、黄先生が処方をした漢方薬を飲み続けると、3週間後には寝つきが良くなり、怒りの感情が激減しました。また、疲労感も減ってきたと感じました。
6週間後には会社や家庭内のトラブルも減り、仕事の効率も良くなってきました。
9週間後には緊張やイライラすることも少なくなりました。週末にトレーニングジムで運動を始め、体重が4kg減りました。
3カ月後には飲酒をしなくてもストレスと睡眠のコントロールができるようになり、定期的な運動で体重もキープできていました。疲労感やだるさもなく、精神状態も安定しており、治療終了となりました。
★保険についてのご質問、漢方ってどうやって飲むの?苦い?
どの先生に診てもらえばいい?などなんでもご質問ください
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- 2016年07月04日