老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
~「首肩の痛み」の鍼灸治療・養生法〜
日本人の多くが抱えていると言われる首肩の不快感、症状の出方から対処方法を探してみましょう。
【首肩の痛みの出方のタイプ】
① 首肩が痛み頭痛もする
② 腕に痺れが出る
③ 首肩が痛み睡眠も悪い
④ 生理前に首肩が痛む
※首肩の痛みの出方や原因は様々です。上記以外にもタイプがあります。実際に症状がある場合は医療機関を受診してください。
【首肩の痛みのタイプ別治療法】
① 首肩が痛み頭痛もする
特徴:筋肉が緊張してこわばり痛みが出ているタイプです。身体が前傾姿勢になって
いたり、長時間パソコンやスマートフォンなどを操作していたりすると起きや
すい傾向にあります。
鍼灸治療:首肩局部の筋肉弛緩のツボ
+頭皮のツボ
養生(生活注意点):
×柔らかいソファー。長時間の携帯電話など
〇パパイヤなど
② 首を動かすと腕に痺れが出る
特徴:神経が圧迫され痺れが出ているタイプです。中医学では「通じなければ痛みが
生じる」という言い方があり、経絡の気や血流が滞って動きにくくなると痛み
や痺れが出てくると考えています。
鍼灸治療:腕や足のツボを利用して身体のバランスを整える。
+首肩に電気を流しスムーズに神経伝達できるようにする。
養生(生活注意点):
× 首を強い力で動かすマッサージ
〇 ゴボウなど
③ 首肩が痛み睡眠状態も悪い
特徴:緊張不安、ストレス、疲労が重なり、身体全身のエネルギーが滞っているタイ
プです。
身体の機能がスムーズに行われるためには「気(エネルギー)」が絶えず動い
ていることが必要だと中医学では考えています。「気」は緊張、ストレス、疲
労などにより滞り、「気」が滞ると睡眠状態も悪くなりやすく、血流も悪化し
て痛みが出やすくなります。
鍼灸治療:首・肩のツボと体全身をリラックスさせるツボを使います。
養生(生活注意点):
× お酒、暴飲暴食、残業など
〇 ユリ根、セロリなど
④ 生理前に首肩が痛む
特徴:生理前は血流が悪くなりやすく、首肩に栄養が行きわたらず、痛みが出やすく
なります。生理前に痛みが出る場合は場所が固定していて痛みが強い傾向にあ
ります。
鍼灸治療:全身の血の流れを整え、ホルモンのバランスをコントロールするツボを使
います。
養生(生活注意点):
× 過度な食事制限、冷たい食品など
〇 ミント、胡桃など
【首肩の痛みの治療が得意な老中医の診察室】
厳勤 先生
Aさんは上海で働く50代の男性です。一週間前から左肩から背中にかけてこわばり痛みが出ており、痛み止めを飲みたくないので中医学で治療をしてほしいとのことで来院されました。
厳先生はまずAさんの姿勢を見たり、身体を動かしてもらったりしながら質問をしていきました。頭を左に向けた時と頭を上げた時に痛みがひどくなり、特に頭を上に上げた時は首から左肩、背中、左手に至るまで痺れを感じるとのことで、首を動かせる範囲も狭まっていました。また、Aさんは毎日長時間パソコンや携帯を使って仕事をしているとのことでした。
診察の結果、Aさんは年齢的にも気血が不足しており筋肉に栄養を与えることができない状態な上に、姿勢の不良が加わり経絡が損傷を受けて気血の循環が悪くなり、それによって痛みが出ていると先生は判断しました。
治療は滞った気血を改善させ、経絡の通りを良くして痛みを止めるために、鍼灸と電気治療を中心に行い、漢方薬の湿布を処方して家で貼ってもらうことにしました。
さらに、アドバイスとして仕事の際にずっと同じ姿勢をしないこと、頭や肩、腕などを時々動かすこと。運動をする前には必ずウォーミングアップをすること。自分に合った枕を使うこと。首から肩にかけて寒くないように保温を心がけることなどを話しました。
二回の鍼灸治療の後、痛みが軽減しました。しかし、寒くなると首から背中にかけての痛みが悪化し、痺れも出てきました。
四回の治療の後、痛みと痺れが無くなり、頭を自由に動かすことができるようになりました。
さらに三回の治療を行い、症状が安定しているため治療終了となりました。
★保険についてのご質問、漢方ってどうやって飲むの?苦い?
どの先生に診てもらえばいい?などなんでもご質問ください
■バックナンバー
- 老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
- 2017年02月06日