「生理不順」の漢方治療・養生法

生理は28日前後の周期で来て、5~7日程度出血が続き、すっきりと出血が止まるのが正常です。生理周期や生理の状態は、生活習慣やストレス、食生活など様々な要素により影響を受けます。一度だけではなく異常が続く時は治療の対象になります。

 

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【生理不順の症状の主なタイプ】(中医学)

 

① ストレスで生理周期が乱れる

 

② 生理が来なくなった

 

③ 出血量が多い

 

④ 不正出血が続く

 

※生理の失調の症状は上記以外にもあります。実際に症状がある方は中医師にご相談ください。

 

 

【生理不順のタイプ別治療・養生法】

 

① ストレスで生理周期が乱れる

 

特徴:我慢をしたり心が落ち込んだりすることが多い人に現れるタイプです。生理の前には些細なことでイライラしたり胸が張ったりすることも多く、生理痛があったり、時には経血に塊が混じることもあります。

 

治療:鍼治療で緊張を緩和し、生薬で気と血の流れをスムーズにし心と身を調節します。

 

養生:×四川火鍋、チョコレート、タバコなど。

   〇ミント、生姜、ローズヒップなど。

 

 

② 生理が来なくなった

 

特徴:食が細く冷え症で下痢しやすい虚弱な人、偏食でダイエット中の人などに起きやすい症状です。「腎」の「気」の不足や、ストレス、「痰湿」などが原因で起きることもあります。

 

※中医学の「腎」は腎臓そのものではなく、成長や発育、生殖器系や身体の元気の元となる臓のことです。

※「痰湿」とは、身体の中に溜まっている不要な水分や老廃物のことです。

 

治療:胃腸の働きを調え、栄養のある気血を補う生薬を処方し、必要に応じて健康的なダイエットの指導をします。

 

養生:×大根、アイスクリーム、コーヒーなど

   〇牛肉、卵、棗など。

 

 

③ 出血量が多い

 

特徴:辛い物を好み暴飲暴食、睡眠時間が短い人、イライラしやすい人、更年期の人にも起こりやすい症状です。生理周期も短くなったり、寝汗が出たりすることもあります。

 

治療:身体を落ち着かせる「陰」を補い、出血量を調節する生薬の処方。

 

養生:×お酒、辛い物、玉ねぎなど。

   〇レンコン、白菜、スッポンなど。

 

 

④ 生理の後不正出血が続く

 

特徴:胃腸の働きが悪く、気が不足している人に多くみられる症状です。「気」には身体に必要な物が排泄されないように留めておく働きがあり、その働きが失調すると出血をすっきりと止められなくなります。生理の出血量が多いこともありますが、色が薄いのが特徴です。

 

治療:胃腸の働きを改善し食欲を調節します。また、気を補う生薬を処方します。

 

養生:×大根、苦瓜、生魚など。

   〇竜眼、薬用人参、黄精餅など。

 

 

 【生理不順の治療が得意な老中医の診察室】

 

劉 愛武 先生

 

Dr

 

Aさんは上海市内に住む30代の女性です。大学を卒業後、仕事を始めた頃からストレスなどが重なり生理周期が乱れはじめました。生理痛も激しく、妊娠の希望もあることから当クリニックを受診されました。

 

初めてクリニックを訪れた時、Aさんの生理周期は45日前後と長く、生理の時は痛みのため動くことができないほどで、ほぼ毎月鎮痛剤を服用しているとのことでした。

 

劉先生はAさんに質問をしていきました。すると、経血の色が黒く、塊が混じり、下半身や腰のだるさも著しいこと、生理前のイライラもひどく、胸が張ること、日ごろから疲労感が取れず、めまいがすることなどがわかりました。また、妊娠を希望していて、生理が来るかどうかいつも気になってしまうということでした。

 

Aさんの生理不順と生理痛の原因は、元気不足と血液不足に加えて、ストレスにより血流が悪化してることであると劉先生は指摘しました。治療は体力や血を補うとともに、血流を改善させる生薬を中心に漢方処方を組み立て、服用してもらうことにしました。また、日常生活では、妊娠のことなど何事も気にしすぎず心穏やかに過ごすこと、適度な運動をすること、生理の時は身体を冷やさないようにすることなどをアドバイスしました。

 

Aさんは漢方を飲み始めて一カ月で疲労感が減り、生理痛も以前ほど激しくなくなりました。 二カ月後には生理時に痛み止めを飲まなくても良くなり、三カ月後には長かった生理周期が短くなり始め、めまいもしなくなくなりました。半年後には生理周期がほぼ28日になり、生理時の不調も改善しました。

 


 

 

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生理不順に効く!ツボ押し

【関元(かんげん)】

 

kangen

 

関元(かんげん)は身体の中心線上にあり、おへそから指四本分下に位置します。

 

関元の位置を触ってみて冷えているようであれば、ホッカイロを貼ったり、お灸をしたりすると良いでしょう。

 

このツボは、ホルモンバランスを整えて生理周期を整える他、下半身の冷え、生理痛、泌尿器系の疾患、加齢による症状などにも効果的です。

 

 

【三陰交(さんいんこう)】

 

sanyinkou

 

三陰交(さんいんこう)は足の内くるぶしの中心から指四本分上にあります、内くるぶしから上にたどっていくと、三陰交のツボが少しくぼんでいます。

 

消化器系、自律神経系、生殖器系などの働きを助けるツボとしてよく使われます。 下半身が冷え、血流が悪化している方は三陰交が盛り上がったようになり、軽く触れるだけで痛みを感じる方もいます。

 

押して強い痛みを感じる時は、さすったりホッカイロで温めたりすると良いでしょう。 三陰交は生理不順の他に、足の冷えやむくみ、不妊症、更年期障害、生理痛、消化器症状などの治療にも使われます。

 

 

【血海(けっかい)】

 

kekai

 

血海は太腿の内側、膝のお皿の上端から指三本分上にあります。

 

「血が集まる海のような場所」という意味の名前のこのツボは、血流が悪い時に押すと痛みを感じます。

女性は血流が悪くなることにより、婦人科系の疾患が起きやすくなります。このツボは、経理不順の他、生理痛、冷え、更年期障害などの女性の疾患の治療に使われます。 どうきやのぼせ、膝の痛みなどの血流の悪化による症状にも効果です。

 

 


 

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