老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
「運動後の痛み」の治療法
普段運動をしない方が運動をしたときや、運動の強度に筋力が見合っていない場合などは、運動をした後に身体のあちこちに痛みが出ることがあります。無理をして運動をし続けると痛みが悪化したり、治りにくくなったりすることもあります。痛みの原因を解消して、運動を楽しみましょう。
【起きやすい運動後の痛み】
① ゴルフの後、腰が痛む
② ランニングをすると膝が痛む
③ テニスの後、肘が痛む
④ 首の付け根や肩甲骨周りが痛む
【運動後の痛みのタイプ別治療法】
① ゴルフの後、腰が痛む
特徴:腰の関節がうまく動かない、または腰を支える筋肉が弱いことにより起きやすい症状です。
治療:
鍼で痛みを軽減し、腰の関節を動きやすくします。
下半身や腰部の筋力を強化する運動療法を行います。
② ランニングをすると膝が痛む
特徴:膝への深と靭帯の酷使により起こる症状です。下肢の筋肉が弱く、膝関節が不安定だと痛みが起きやすくなります。
治療:
膝関節の靭帯を動かすための施術を行います。
股関節や足首の安定性を調節し、筋力を強化して、下肢への負担を軽減させます。
③ テニスの後、肘が痛む
特徴:練習時間が長く、腕の力を使いすぎること、または肘を支える筋肉が弱いことなどが原因で起きやすい症状です。
治療:
炎症を抑え、肘関節の血流を改善させます。
腕だけではなく、身体全体、体幹の筋肉強化のトレーニング方法とテーピングも指導します。
④ 首の付け根や肩甲骨周りが痛む
特徴:背中の筋力が弱く、姿勢が安定しないまま運動をすると起こりやすい症状です。
治療:
筋肉の血流を改善し、痛みを緩和させます。
肩や首の安定性を確認しながら特に背中の筋力を強化する運動療法を行います。
【運動後の痛みの治療が得意な理学療法士の診察室】
鐘(ジョン)先生
Aさんは上海に住む40代の女性です。テニスが趣味で毎週10時間ほど練習をしていましたが、最近肘の外側が痛むようになり、長い時間テニスをすることができなくなったため当クリニックを受診されました。
普段の痛みはひどくはありませんが、テニスをする際とタオルを絞るような動作をした際に肘の外側に痛みが出るとのことでした。
鐘(ジョン)先生はAさんの肘や身体の状態をチェックした後、治療を始めて行きました。まずは腕と肘の筋肉筋膜組織をほぐし、関節の可動域を広げる施術をしました。弛緩療法とストレッチをメインにして、電気治療と温熱療法を組み合わせて痛みを和らげ、筋肉の緊張をほぐしていきました。同時に炎症を抑え痛みを和らげる湿布を貼ってもらうことにしました。
そして、痛みがある時はテニスをする時間を減らすように、具体的には練習時間は毎回2時間を超えないように、1週間で6時間を超えないようにアドバイスをしました。また、運動をする前にはよくアップをすること、温めたタオルなどで肘を温めるのも良いと話しました。運動をした後はストレッチをし、肘を冷やすようにと話しました。
Aさんが鐘(ジョン)先生の治療を3回受けたところ、肘の痛みがかなり和らぎました。しかし、テニスをする頻度と時間を増やすとまた痛みが出てきてしまいました。
6回目の治療時には基本的には痛みが無くなりました。しかし、激しく運動をすると肘に違和感が出ました。鐘(ジョン)先生は再発を防ぐためにAさんの腕と肘の力を強める運動療法と筋肉を伸ばす施術を行いました。
Aさんは1週間に一回のペースで2カ月ほど治療を続け、肘の痛みが出る前の強度でテニスをしてもタオルを絞る動作をしても、肘に痛みが出ることは無くなったため治療終了となりました。
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- 2018年01月10日