老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
~「乾燥肌」の治療法~
ジメジメした夏が終わりホッとひと安心するのも束の間、秋は乾燥の季節です。喉が渇いて風邪を引きやすいのも悩みの種ですが、お肌の乾燥も様々な問題を引き起こします。カサつつくだけではなく、痒み、フケなど、悩ましいことばかり。
様々なタイプごとに乾燥肌を解決しましょう。
【乾燥肌の主な症状】
①頭皮が乾燥してかゆい(フケも多くなった)
②首、肘、膝裏が乾燥する
③かかとが乾燥してガサガサしている
④身体全体の皮膚が乾燥して喉も渇く
⑤目、口の周りが乾燥して下痢しやすい暴飲暴食した夜は、よく眠れない
※他にも乾燥肌の症状は多くあります。実際に症状のある方は中医師にご相談ください。
【乾燥肌の症状別治療法】
①頭皮が乾燥してかゆい
特徴:受験生やストレスが多い人、お酒を多く飲む人に現れやすいタイプ。
治療:生薬で身体を解毒し、緊張を緩和して血流を改善する生薬の処方。
養生:×唐辛子、焼酎、レバー
〇梅干し、スイカ、銀杏など
②首、肘、膝裏が乾燥する
特徴:汗をかきやすい人や、生の海鮮を食べた後、乾燥の症状が現れるタイプ。
治療:身体の緊張を緩和し、心が穏やかになる生薬の処方。
養生:×刺身、羊肉、アイスクリーム
〇牛蒡、漬物、キュウリなど
③身体全体が乾燥し喉も渇く
特徴:身体を潤わせる「陰」のバランスが悪く、食生活のリズムも乱れているタイプ。
治療:「陰」の成分を補い、不安な心を安定させる生薬の処方。
養生: ×菓子パン、ケーキ、甘い飲料水
〇アサリ、シナモン、山芋など
④目、口の周りも乾燥し下痢もしやすい
特徴:胃腸の働きが悪く、消化、吸収や排泄が上手くできないタイプ。胃腸の働きが弱い子供に多くみられる。
治療:胃腸の働きを改善し食欲を調節する、また血を補う生薬を処方。
養生: ×チョコレート、霜降り肉、コーヒー
〇白菜、モロヘイヤ、ハト麦など
★肌に潤いがない時はここをマッサージしよう!★
血海(ケッカイ)
※膝のお皿のやや上、内側にあるツボ。皿から指4本分くらい上のところを100~200回、優しくマッサージしましょう。
【乾燥肌の治療が得意な老中医の診察室】
芦田 明日香先生
Aさんは上海に住む35歳の女性です。
数年前から乾燥肌に悩まされてきました。主に手足が痒くなり、秋から冬にかけて症状が悪化します。ステロイド薬を使用すると改善しますが、ステロイド剤を使用し続けたくないために来院しました。家事などが忙しくなりストレスが増すと、悪化するそうです。便秘や睡眠障害、怠惰感も伴います。
初診時:両手や両足の皮膚が乾燥のためにカサカサして粉を吹き、痒みも伴っています。部位によっては掻いてしまったために、炎症を起こし出血がみられました。
芦田先生はAさんの状態を観察し、話を聞いた結果、「気」と「血」が不足している状態と診断しました。治療には生薬に加えて、かゆみを抑えるための外用薬、保湿剤を処方しました。また、アドバイスとして飲食や入浴に関する注意点をお伝えしました。
2週間後、痒みに改善が見られ、炎症も見られませんでした。便通も改善されていました。
4週間後、肌の乾燥にも改善が見られ、粉も吹かないようになりました。痒みも前回に比べてさらに改善が見られました。倦怠感や便秘は解消され、睡眠障害にも改善が見られました。
引き続き2週間服用を続けた結果症状が安定しているために治療を終了しました。保湿剤は引き続きご使用いただいています。
★保険についてのご質問、漢方ってどうやって飲むの?苦い?
どの先生に診てもらえばいい?などなんでもご質問ください
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- 2018年09月26日