老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
〜「老中医の診察室 貧血」〜
貧血とは血液中のヘモグロビンが減少し、酸素が全身にいきわたらない結果、様々な症状を引き起こす状態をいいます。中医学でも「血」はエネルギーを供給する役割を持つと考えており、その対応方法も豊富です。
【貧血以外にこんな症状もある】
①動悸がするようになったる
②頭痛、めまいがする
③焦りと不安が交互に現れる
④耳鳴りがする
⑤悪いといわれる
※他にも貧血に関する症状は多くあります。実際に症状のある方は中医師にご相談ください。
【貧血の症状別治療法】
①動悸がするようになったる
特徴:貧血に加え心臓の血が足りないため、酸素を脳に運べず動悸などの症状が出てしまいます。
治療:心臓に血を補い、全身に栄養を補うように調節する生薬の処方。
養生:×大根、冬瓜、唐辛
〇竜眼、アサリ、苦瓜など
②頭痛、めまいがする
特徴:筋肉の緊張や胃腸の働きが悪く、貧血に加え頭部に栄養が滋養できなくなって症状が現れてきます。。
治療:頸部や背中の緊張をやわらげ、胃腸を調え、頭部の血流を改善する生薬の処方。
養生:×菓子パン、タバコ、コーヒーなど
〇クルミ、梅干し、泥鰌(ドジョウ)、お灸など
③焦りと不安が交互に現れる
特徴:中医学では、貧血によって心臓に血が満たされていないと精神的な乱れが現れると考えます。
治療:生薬で「血」を補い精神を安定させ、心と身体を調節する生薬の処方。
養生: ×揚げ物、チョコレート、香辛料など
〇百合根、牡蠣、ナツメなど
④耳鳴りがする
特徴:下半身の筋力が弱く、上半身の血流が減退しているタイプ。ベジタリアンで運動不足の人に多くみられます。
治療:胃腸の働きを改善し食欲を促進し、精神的な疲労を緩和する生薬を処方。
養生: ×お酒、こんにゃく、フライドポテト
〇山芋、黒豆、牛筋など
★【貧血予防にここをマッサージしよう!】
足三里(アシサンリ)
※膝下の窪みから指4本分下がった、向こうずねのすぐ外側にあるツボを指でマッサージしましょう。親指で100~200回、優しくマッサージしましょう。
(当院ではマッサージ方法を指導いたします)
【貧血が得意な老中医の診察室】
鄭 淑華 先生
Wさんは上海に住む22歳の女性です。
夏ごろから立ちくらみがあり、近頃睡眠状態も悪く、朝から疲労感、やる気がでないといいます。焦ることが多くなり、緊張すると動悸を感じるようになるそうです。Wさんは一人暮らし生活が長く、コンビニや菓子パンなど、バランスのくずれた栄養の偏った食生活で過ごしてきました。全体的に疲労感、気力の低下、不安感、動悸、眩暈の症状に改善が診られず、当クリニックを受診されました。
さらにお話を伺うと、Wさんはスイーツなどを食べる機会が多く、胃腸の働きが低下している状態でした。お肉や豆腐などのたんぱく質の多い食事をとるとお腹が張るため、偏食になりがちでした。夜になると不安になり睡眠が浅くなり、早朝に疲労を感じるといいます。日中も集中力や記憶力が低下して仕事の効率が下がっていると感じています。血糖値が下がるのか、氷菓子を好むようになり、食べすぎると胃が痛くなることがあるそうです。
舌に白い苔があり、先端が赤い状態。舌はむくんでいて、両脇は歯の跡にくぼんでいます。胃腸の働きが低下し、「内熱」があると診られます。これにより「気」と「血」が不足するため、Wさんの症状が起きていると考えました。
鄭先生は平胃散、黄連阿胶湯、十全大補湯という漢方をベースに患者に合わせて処方しました。また食生活上のアドバイスを行いました。
一週間後食欲が増したため、栄養を補う生薬に変更を行いました。
二週間後よく眠れるようになり、動悸の頻度が軽減されてきたといいます。食物繊維やたんぱく質の豊富な食材を紹介し、徐々に摂取量を増やしてもらうようアドバイスしました。
二か月後、動悸は見られないようになりました。睡眠、疲労、気力低下などの書状が改善したといいます。立ちくらみがあるというお話でしたので、下半身の運動方法をアドバイスしました。
三か月後、血液検査で血液中の鉄の欠乏状態は正常に戻っていることを確認しました。さらに同じ処方を四週間服用していただき、立ちくらみと動悸が収まったとお話を伺いました。
★保険についてのご質問、漢方ってどうやって飲むの?苦い?
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- 老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
- 2019年03月04日