老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
「皮膚炎」の治療法
皮膚炎はかゆみのわずらわしさもさることながら、夏が近づき薄着をするようになるこの季節は見た目も気になってしまいます。今回は皮膚炎についてご紹介します。
【こんな症状の方へ】
①風呂上りに赤く痒くなる
②汗をかくところが赤くなる
③緊張すると痒くなる
④寝ている時に痒く血が出る
⑤食べ飲み過ぎると皮膚炎がひどくなる
※他にも皮膚炎に関する症状は多くあります。実際に症状のある方は中医師にご相談ください。
【皮膚炎の症状別治療法】
①風呂上りに赤く痒くなる
特徴:身体に熱が溜まり発散できず、お風呂に入ると毛細血管が拡張して痒くなるタイプ。
治療:便と尿から体の中の湿熱を排泄し、皮膚に栄養を補う生薬の処方。
養生:×玉ねぎ、チョコレート、唐辛子など
〇キュウリ、アサリ、苦瓜など
②汗をかく所が赤くなる
特徴:汗の刺激が、痒みを誘発し皮膚を損傷。緊張や虚弱、肥満体質の人に多いタイプ。
治療:汗を調整したり、緊張を和らげたり生薬の処方。食生活改善の提案も。
養生:×菓子パン、ベーコン、フライドポテトなど
〇レタス、マコモダケ、梅干しなど
③寝ている時に痒く血が出る
特徴:身体を冷ます「陰の気」が少ないので、寝ると身体がほてり痒みが悪化するタイプ。
治療:身体の内熱を冷ます「陰」を補う生薬と、睡眠の質を改善する生薬の処方。
養生: ×竜眼、落花生、葡萄など
〇白菜、百合根、亀苓膏など
④暴飲暴食で皮膚炎が悪化する
特徴:消化不良で身体の老廃物の「湿熱」が皮膚炎を引き起こし、症状が悪化するタイプ。
治療:心身を調え、痰湿毒の老廃物を排泄する生薬を処方。食習慣の食習慣改善。
養生: ×お酒、ポテトチップス、ケーキなど
〇ゴボウ、緑豆、スベリヒユなど
★【皮膚炎の予防にこのツボを押してみよう!】
曲池(キョクチ)
※ひじの関節部分の上側、ひじを曲げた時にできる横じわの延長上にあるツボを、親指で100~200回、優しくマッサージしましょう。
(当院ではマッサージ方法を指導いたします)
【皮膚炎が得意な老中医の診察室】
鄭 淑華 先生
Kさんは上海に住む女性です。
この一か月間軽い皮膚炎を繰り返していましたが、忙しかったこの1週間に悪化し、かゆみも激しいために来院しました。
鄭先生はKさんの状態を観察し、問診を行いました。顔の両頬に赤い発疹と丘疹があり、かゆみを伴っています。夜に特にかゆみがひどくなり、寝ている間にかいてしまい睡眠の妨げになるそうです。疲労感も著しく、イライラすると悪化する傾向にあるというお話でした。
「血」と「熱」が身体の中で結びつき、皮膚炎を発症していると考えました。ストレスに関係する「肝」と女性と結びつきの強い「腎」が弱まっていることも考えられ、それぞれに対応した生薬を処方しました。また、休息を十分に取る、食生活に気を付ける(辛い物、海鮮、油物を控える)、洗顔料や化粧品はなるべく無添加のものを使用するようアドバイスを行いました。
一週間後の診察では、頬の赤みがやや改善されましたが、夜の激しいかゆみはなお変わらないということでした。
二週間後の診察では、明らかに頬の赤身はなくなりました。かゆみは少し残っていますが、以前のような激しいかゆみはほぼなくなり睡眠も十分とれるようになりました。疲労感にも改善がみられるそうです。
三週間後の診察では、頬の赤み、かゆみともになくなりました。睡眠や疲労も改善したため、治療を終了しました。
★保険についてのご質問、漢方ってどうやって飲むの?苦い?
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- 2019年05月30日