老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
「むくみ」の治療法
血液上の水分が必要以上に血管からしみだして起こるむくみ。身体のアウトラインが変わるだけでなく、放っておくと他の症状を引き起こすこともあり注意が必要です。今回はむくみについてご紹介します。
【こんな症状の方へ】
①午後になると、靴が窮屈な感じになる
②口は渇いているのに、下半身はむくむ
③身体全体がむくみ。気持ちもすぐれない
④腰が冷えて重く、むくんだ感じがする
⑤朝起きると顔、腕や指がむくむ
※他にもむくみに関する症状は多くあります。実際に症状のある方は中医師にご相談ください。
【むくみの症状別治療法】
①午後になると、靴が窮屈な感じになる
特徴:立ち仕事の人、お酒を多く飲む人など下半身の循環が悪いタイプ。
治療:胃腸を整え身体に栄養をあたえ、余分な水分を膀胱から排泄する生薬の処方。
養生:×ビール、うどん、フライドポテトなど
〇豆腐、蓮の葉、トウモロコシの髭茶など。
②口は渇いているのに、下半身はむくむ
特徴:甘い物を好む人に多く、老廃物(痰湿熱)が多く下半身に停滞しているタイプ
治療:糖分の摂取を調節し、身体の老廃物を排泄する生薬の処方。
養生:×菓子パン、カクテル、アイスクリーム
〇山芋、コンニャク、苦瓜など
③身体全体がむくみ。気持ちもすぐれない
特徴:水分を動かす「陽気」が少なく、身体に水がたまりやすくなるタイプ。
治療:「陽」の成分を補い、落ち込みがちな心を安定させる生薬の処方。
養生: ×葡萄、牛肉、芹
〇ニラ、あずき、鶏肉など
④腰が冷えて重く、むくんだ感じがする
特徴:腰が冷えて腎臓間の血流が少なく、身体に水が停滞するタイプ。
治療:胃腸の働きを改善し食欲を調節する、また血を補う生薬を処方。
養生: ×梨、牛乳、コーヒー
〇生姜、羊肉、山羊チーズなど
★【むくみの予防にこのツボを押してみよう!】
血海(ケッカイ)
※膝のお皿のやや上、内側にあるツボ。皿から指4本分くらい上のところを100~200回、優しくマッサージしましょう。(当院ではマッサージ方法を指導いたします)
【むくみの治療が得意な老中医の診察室】
芦田明日香 先生
Oさんは上海に住む女性です。
下半身、特に膝下のむくみが8年以上続いています。オフィスワーカーであり、長時間椅子に座り続けることが多いといいます。またよくお酒を飲まれ、疲れやすく下痢をしやすいそうです。
芦田先生はOさんの状態を観察し、さらに問いかけを行いました。下半身、とくにふくらはぎが午後になって疲れてくるとパンパンに張るといいます。歩きづらい、靴下の跡が消えない、痛みを感じるという状態だそうです。また夜の睡眠中にもふくらはぎがつる、痺れることもあるといいます。また下半身の冷えや怠惰感もあるそうです。
「脾」と「腎」の「陽気」が失われたことにより体内の水分がたまっていることが原因だと芦田先生は考え、それぞれに対応した生薬を処方しました。また以下の生活上のアドバイスを行いました。
・お酒や刺激物を控え、休息を十分にとる
・身体を冷やさないようにする
・仕事中や、睡眠中に足の位置を少し高くする
・1時間以上同じ体勢を続けないように心がけ、意識的に足などを動かす。セルフマッサージも効果的。
・定期的に適度な運動をして、ふくらはぎの筋肉を鍛える
2週間後
夜間の足のつりがなくなりましたが、足のむくみは午後になるとあらわれるそうです。
1ヶ月後
むくみの症状は残りますが、痛みをともなうことはなくなったといいます。また疲労感にも改善がみられるそうです。足の冷えも軽減したように感じられ、下痢もしないようになったそうです。
3ヶ月後
疲労感を感じなくなり、足の冷えも気にならなくなりました。午後になっても、足がむくまないようになったため、 治療終了としました。
血海(ケッカイ)
※膝のお皿のやや上、内側にあるツボ。皿から指4本分くらい上のところを100~200回、優しくマッサージしましょう。(当院ではマッサージ方法を指導いたします)
★保険についてのご質問、漢方ってどうやって飲むの?苦い?
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- 老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
- 2019年06月27日