老中医の診察室〜症状別漢方治療・養生法〜
老中医の診察室 ~「痛みのコントロール」の治療法~
痛みの存在は日々の生活に大きく影響し、不安をもたらします。「慢性的なものだから」とあきらめず、解決方法をさがしてみませんか。
今回は痛みのコントロールについてご紹介します。
【こんな症状の方へ】
①頭痛に悩まされている
②首肩や背中、腰が痛む
③身体のいろいろな所が痛む
④緊張ストレスで胃や腸が痛む
※痛みに関する症状は多くあります。実際に症状のある方は中医師にご相談ください。
【痛みのコントロールの症状別治療法】
①頭痛に悩まされている
原因:★頭痛の原因に外部からの刺激よる場合と、内臓機能の障害による場合に分け
られる。
★また、経絡(気の通る道)が阻害されている部位に、頭痛が発生すること
があり、阻害している老廃物によって、頭痛の状態が異 なってくる。
治療:①頭痛の部位から阻害されている、経絡を通す治療。
②手足の反応点を利用し、痛みの調節をする。
③内臓に原因がある場合には、漢方治療と鍼治療を同時に実施する。
②首肩や背中、腰が痛む
原因:★姿勢が悪いため脊椎の安定性が悪い、血流が悪く筋力の低下もあるなどの原
因で痛みが発生。
★利き手や習慣などで筋肉が張り、長さや太さなどが一致しない時にも痛みが
出る。
治療:①脊椎を中心に、身体全体の経絡の流れを調える。
②手足のツボを利用して、痛みを調節する。
③姿勢の改善や筋力強化のため、整体調整や運動療法を取り入れる。
③身体のいろいろな所が痛む
原因:★睡眠の質の低下、運動不足、心因的な緊張による血流障害などが原因。
★全身の気血の流れが悪くなって、痛みがでる。
治療:①身体の反応点から病気の源になる部位を特定し、治療を始める。
②睡眠や心因的な緊張を調節する、経絡治療を施す
③気血が滞るタイプの人は、活血の生薬を同時に処方する。
④緊張ストレスで胃や腸が痛む
原因:★過度の緊張があると、肝気が滞りゲップや食欲が減る。
★胃腸の動きが低下し、胃が痛む。重症の場合には、胃潰瘍になることも。
治療:①胃と肝の経絡を調節し、胃腸の動きを健康的に戻す。
②睡眠の質を良くし、胃腸の修復及び心身の安定をはかる。
③鍼治療と一緒に漢方薬で胃腸を整える。
【痛みのコントロールが得意な老中医の診察室】
マーラ・アネスタシア 先生
Mさんは上海に住む59歳の女性です。
10週間前にご主人と訪れた外国で散歩中に転倒、左足に痛み、腫れがあり、かかとの可動範囲に制限があらわれ、歩きにくい状態が続いています。現地の病院で「かかとのねん挫」と診断され外用薬による治療を行いました。2週間前に飛行機で帰国されたあと、左かかとの腫れと痛みが悪化し、当院を訪れました。骨粗しょう症の病歴があります。
骨粗しょう症があることから、X線による細かい診察を行ったのち、鍼灸と漢方による治療を行いました。
またかかとを守ること、徐々に運動量を増やすこと、足への過度な負荷を避けることをアドバイスしたほか、温湿布による血行促進をおすすめしました。
一度目の鍼灸治療により、腫れは大幅に改善されました。6度目の治療後、かかとの腫れと痛みはともに大きく解消されました。
過度な運動時の痛みや階段を降りる際にやや違和感があるそうですので、引き続きリハビリを組み合わせた治療を行うことになりました。
★保険についてのご質問、漢方ってどうやって飲むの?苦い?
どの先生に診てもらえばいい?などなんでもご質問ください
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- 2019年10月07日